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アルビレックス新潟と20年を共にした男。渡邉基治コーチの描く新潟の未来図

2021.05.31

2021年シーズンのJ2リーグで、開幕から首位に立ち続けてきたアルビレックス新潟。スペイン人指揮官のアルベルト監督体制も2年目を迎え、その攻撃的なサッカーは多くのサッカーファンを魅了し始めている。ただ、この成果はもちろん一朝一夕に築かれたものではない。2000年からアルビレックス新潟に在籍し、数々のブラジル人選手に寄り添いながら、クラブの歴史を自らの目で見つめてきた渡邉基治コーチが思い描く、新潟のサッカーの未来図とは。

  「ビッグスワンと歩んだ20年。新たな歴史をこれからも共に」

 5月23日のJ2第15節・京都サンガF.C.戦(●0-1)で、アルビレックス新潟サポーターによる横断幕が、バックスタンド中央に掲げられた。

 こけら落としの試合が行われたのが、2001年5月19日のJ2第12節・京都戦(延長Vゴールで●3-4)。それから20年と4日後、奇しくも同じ京都を相手に、同じく1点差で敗れたものの、京都の激しいプレスの裏を突き、相手陣内で攻撃をたたみかけるサッカーは見応えのある好勝負だった。

 スペインからやってきたアルベルト監督体制2年目の今季は、開幕から13試合負けなしで首位を独走。ボールを保持して試合を支配するサッカーを貫き、勝ち点を積み上げている。

 10年ぶりに新潟へ戻ってきた千葉和彦がビルドアップを支えれば、プロになり新潟で初めて契約更新をしたという高木善朗がアイディアに満ちた攻撃を見せる。子どもの頃、ビッグスワンで新潟を応援していた阿部航斗がゴールを守り、本間至恩がドリブルで魅せる。新潟のサッカーに魅了されて加入した高宇洋は、中盤でボール奪取力を発揮し、サポーターが歓喜するショートカウンターの起点になる。

 攻守の切り替え、球際の激しさは新潟の伝統。それをベースに持ちながら繰り広げる攻撃的サッカーは、かつてないエンターテインメント性に満ちあふれている。

“依存”ではなく“共存”。外から来た力を受け入れる土壌

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アルビレックス新潟文化渡邉基治

Profile

野本 桂子

新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者、サポーターズマガジン「ラランジャ・アズール」編集を務める。

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