ゼルビア・チャレンジング・ストーリー 第32回
町田の名を全国へ、そして世界へ轟かせんとビジョンを掲げ邁進するFC町田ゼルビア。10年以上にわたりクラブを追い続け波瀾万丈の道のりを見届けてきた郡司聡が、その挑戦の記録を紡ぐ。
第32回では、2026シーズンに向けたチームビルディングの進捗をレポート。移籍市場での選手獲得が黒田体制下で最も少なかった理由、新陳代謝に乏しい中でどのようにチーム作りを進めてきたのかを紐解く。
鋭いクサビを出発点とした美しいコンビネーションプレーの結晶で揺れたゴールネット。攻撃のスイッチを入れたクサビ役の望月ヘンリー海輝は「エリキの身体能力によってチャンスに繋げてくれた」と振り返る。名護キャンプ3日目の実戦練習でお目見えした“衝撃的ゴール”。地上戦を軸とした絶妙なコンビネーションプレー発動によるゴール奪取は、黒田ゼルビアではなかなかお目にかかれない光景だ。
今オフ、町田はターゲットマンの象徴として君臨してきたミッチェル・デュークとオ・セフンがチームを離脱。J1の2年目にあたる昨季以降、“セフン一辺倒”からの脱却は1つのテーマだったが、いざとなれば、シンプルにターゲットマンを生かす形に立ち帰れたチームが、物理的に原点を失う格好を余儀なくされた。
結果的に脱・ターゲットマン戦略を強いられた黒田ゼルビアはそれでも、「できることを増やす」(黒田監督)という方針の下、新シーズンのチーム作りをスタート。地上戦での攻略は脱・ターゲットマン戦略の象徴でもあるため、チームは積極的に攻撃のオプション作りに邁進しながら、約2週間の名護キャンプを終えた。
ただ地上戦での攻略は、“26年型黒田ゼルビア”構築に向けての命題としては“氷山の一角”。むしろ最大のテーマは、既存戦力を中心とした編成下でのチームのスケールアップにあったと言っていい。
「どういう選手を獲るべきか、吟味できるフェーズに来ている」
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Profile
郡司 聡
編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、エルゴラッソ編集部を経てフリーに。定点観測チームである浦和レッズとFC町田ゼルビアを中心に取材し、『エルゴラッソ』や『サッカーダイジェスト』などに寄稿。町田を中心としたWebマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。マイフェイバリットチームは1995年から96年途中までのベンゲル・グランパス。
