ドイツ2部で戦う日本人たち。躍進の秋山裕紀、新境地を開く松田隼風、“ネクスト田中碧”は誰だ?
遣欧のフライベリューフリッヒ#20
「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。
今回はドイツの2部リーグで戦う日本人選手にフォーカス。かつて遠藤航や田中碧もこの地での戦いを経験して大きく羽ばたいていったのが、ブンデスリーガ2部。ここには“次”を狙う日本人選手がひしめいている。秋山裕紀、古川陽介、松田隼風、横田大祐、福田師王、三好康児、アペルカンプ真大、あるいはオナイウ阿道といった選手たちである。
独2部にひしめく日本の俊英たち
ブンデスリーガ1部では多くの日本人選手が活躍し、頻繁にニュース記事としても報じられている。しかし、そのすぐ下のリーグにも目を向けてみたい。
観客動員数、スタジアムの熱狂、そして競争の激しさ、そのどれもがトップリーグに引けを取らないのが、ブンデスリーガ2部である。そこはドイツで「世界で最も過酷な昇格レース」とも呼ばれる真の戦場であり、夢と挫折が隣り合わせの場所なのだ。
かつて遠藤航や田中碧といった現在、プレミアリーグでプレーする選手たちも経験した舞台で、今シーズン、複数の日本人選手たちが奮闘を続けている。彼らはクラブこそ違えど、共通の目標を胸に抱いている。
それは、この試練の場で結果を積み重ね、トップリーグへの扉をこじ開けること。
ライバルとして火花を散らし、仲間として互いを高め合う。 凍てつくようなプレッシャーの中で、彼らはピッチ上で闘志を示し、チームの勝利のためにもがき続けている。
第15節終了時点で3位と好調なダルムシュタットには、アルビレックス新潟から期限付き移籍してきた秋山裕紀とジュビロ磐田から完全移籍で加わった古川陽介が所属している。上位争いを続ける5位・ハノーファーには、今季から完全移籍に移行した松田隼風と昨季カイザースラウテルンで評価を高めた横田大祐が在籍し、8位のカールスルーエにはボルシア・メンヒェングラッドバッハから期限付き移籍してきた福田師王、他にもボーフムの三好康児、デュッセルドルフのアペルカンプ真大、マグデブルクのオナイウ阿道がプレーしている。
ブレイクを遂げた秋山、現地でも高評価
中でも今季、特にドイツでの知名度を高めているのがダルムシュタットの秋山だ。
独誌『キッカー』においてチーム内で上位となる「3.21」の平均評価点を与えられている秋山は、開幕戦でダブルボランチの一角でスタメン出場すると、第4節のカイザースラウテルン戦を除く全試合に先発出場。ボールキープ力と中盤での奪取力、そして視野の広さを生かしたパス捌きに長け、中盤の絶対的な選手へと成長を遂げた。
大きなきっかけとなったのは、DFBポカールのシャルケ戦、リーグ戦のハノーファー戦で決勝ゴールを奪ったことだろう。現地メディアから「2部リーグの新星」候補にノミネートされるなど、一気にファンの心を掴んだ。
……
Profile
林 遼平
1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。
