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正念場の黒田ゼルビア。連勝街道から一転、足踏みした原因とは?

2025.09.29

ゼルビア・チャレンジング・ストーリー 第28回

町田の名を全国へ、そして世界へ轟かせんとビジョンを掲げ邁進するFC町田ゼルビア。10年以上にわたりクラブを追い続け波瀾万丈の道のりを見届けてきた郡司聡が、その挑戦の記録を紡ぐ。

第28回は、逆転優勝への期待が膨らんだリーグ8連勝から一転、岡山戦で白星を挙げるまでリーグ4戦勝利なし(3分1敗)と停滞した原因を分析。チームの現状と終盤戦に向けたポイントを整理する。

 “勝利へのアーチ”を託した下田北斗からのクロスボールがファーサイドに届くと、オ・セフンからの折り返しに昌子源が頭で飛び込んだ。直近の公式戦であるJ1第32節のファジアーノ岡山戦。決勝点は時計の針が90+5分を指していたラストプレーの出来事だった。粘りに粘っていた岡山の守備陣を最後の最後で攻略すると、町田のホーム「天空の城 野津田」は興奮のるつぼと化した。“決勝点男”の昌子が興奮気味にこう語る。

 「前節の京都戦は最後に追いつかれてしまった中で、負けたような雰囲気で引き分けました。今日の試合に関しても、最後に僕がゴールを決める展開になりましたが、1点勝負になることは覚悟している中で実際にそういった試合展開になりました。チームの元気印(岡村大八、菊池流帆)がケガで欠場していたので、彼らがいなくなったから負けたと余計に言われたくなかったですし、それをはね返す結果となったことにとてもホッとしています」

 チーム主将の決勝点でもぎ取ったリーグ戦5試合ぶりの勝利。一時期の町田は、2巡目の対戦である後半戦のスタートから連勝街道を爆進し、リーグ戦は8連勝をマーク。天皇杯を含めた公式戦では11連勝を飾っていたチームが、リーグ戦では一転、直近4戦未勝利と足踏みを余儀なくされていた。

 なお、町田がそうこうしている間に、鹿島アントラーズやヴィッセル神戸など上位陣の背中は遠のき、今や首の皮一枚で優勝戦線に生き残っている印象が強い。なぜ町田は“飛ぶ鳥を落とす勢い”だった連勝街道の爆進から急ストップを強いられたのか。今回の連載は、チームの現在地を把握することで今後のJ1ラスト6での大逆転優勝に向けた命題を浮き彫りにしていく。

5失点での敗戦が残した想像以上のダメージ

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Profile

郡司 聡

編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、エルゴラッソ編集部を経てフリーに。定点観測チームである浦和レッズとFC町田ゼルビアを中心に取材し、『エルゴラッソ』や『サッカーダイジェスト』などに寄稿。町田を中心としたWebマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。マイフェイバリットチームは1995年から96年途中までのベンゲル・グランパス。

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