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ニコ・ウィリアムスのバルセロナ移籍破談はなぜ?最後は愛が勝つ、なんて言えない裏事情

2025.07.18

サッカーを笑え #46

2年連続の獲得失敗、そして金輪際なくなったニコ・ウィリアムスのバルセロナ行き。23歳のスペイン代表ウインガーは74日、「人生のクラブ」アスレティック・ビルバオと2035年までの新契約を締結した。

 ニコ・ウィリアムス(アスレティック・ビルバオ)の電撃契約更新には驚いた。バルセロナへの移籍が確実視されていたからだ。

 正直、ちゃんと追っていなかったのだが、スペイン代表で仲の良いラミン・ヤマルからの勧誘で煙が上がり、ラポルタ会長とスポーツディレクター、デコが太鼓判を押したことで油が注がれ、報道での「今週中」、「数日中」、「秒読み」というカウントダウンで爆発の時が迫っていたのは知っていた。

 そもそも代表のエースクラスがバルセロナやレアル・マドリー、アトレティコ・マドリーへ行くのはニュースではない。スペインでは彼ら3強だけが現実的にタイトル獲得のチャンスがあるクラブ。成長、昇給、名誉のためのステップアップというのは当たり前で、普通のことである。

 よって、ニコのバルセロナ移籍成立はニュースではないが「破談」はニュースである。しかも、あれだけクラブ肝煎りで盛り上げておいて、なぜ破談になったのか?

 調べると、わかったことがいくつかある(いずれも報道ベースなので100%確実とは言えないことをお断りしておく)。

「私は自分がいたい場所、我が家にいます。決断を下す時、私にとって一番大切なのは心です」。自身のコメントが日本語で入ったポスターを贈られて、アスレティックでともにプレーを続ける31歳の兄イニャキ・ウィリアムス、母マリアさんと記念撮影

①バルセロナはラ・リーガが課す「年俸枠」をいまだクリアしていない

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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