欧州CLも射程圏内。フライブルクで日本代表MF堂安律が勝ち取った信頼、その理由

遣欧のフライベリューフリッヒ#14
「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。
今回は今季のブンデスリーガで際立つパフォーマンスを続けている日本代表MF堂安律についてだ。欧州CL出場権も射程に収めたフライブルクは“堂安を活かす”形を確立し、堂安もまた“チームのために”攻守で出し切るプレーを継続している。そんな堂安の現状に、林記者が迫った。
掴み取った“チームの変化”
「ゴールを決めたことはもちろん素晴らしい。だが、本質的なところはそこではない」
今季からフライブルクの指揮を執っているユリアン・シュスター監督は、ブンデスリーガ第30節・ホッフェンハイム戦後、3得点に絡む活躍を見せた堂安律に対して称賛の言葉を送った。
「彼が今日もどれほど守備に汗をかいてくれたことか。どれほどの競り合いで勝利してくれたことか。どれほどチームのために全力でプレーをしてくれたことか。そこに本質的な価値があるんだ。これからも、そんな彼のプレーが見られることを楽しみにしているよ」
ホッフェンハイム戦の堂安は、90分を通して文句なしの出来だった。
28分の先制点の場面では、右サイドでボールを受ける瞬間に見事なターンで相手を置き去りにしてスピードアップ。見事な持ち出しから中央へとパスを入れると、そこからつないで最後はルーカス・へーラーのゴールが生まれた。
また、36分には中央でビンチェンツォ・グリフォとワンツーし、密集したところで左足を一閃。針の穴を通すようなシュートをゴール右隅に沈め、チームに追加点をもたらした。
これで終わりでもなく、57分には背後への抜け出しを見せて最終ラインからロングボールを受けると、腕とボディフェイントを使いながら巧みにキープ。上がってきたグリフォへパスを出したところから3点目が決まった。
3得点に絡む大活躍。加えて、どれも違うパターンからゴールに関わる秀逸なプレーぶりだった。ドリブル突破の鋭さ、高いシュート精度、変化をつける動き出し。今シーズン、良い試合も悪い試合も経験しながら自身の形を築き上げてきた成果が、ピッチに現れていた。
試合後、堂安本人も確かな手応えを口にしていた。……



Profile
林 遼平
1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。