宮崎鴻は仙台でもっと大きく羽ばたく!仲間と共存しながら輝く令和を生きる大型FWの横顔

ベガルタ・ピッチサイドリポート第24回
ベガルタ仙台に頼もしいFWが加わった。栃木SCから完全移籍でやってきた184センチの大型ストライカー。既にリーグ戦でもインパクト十分と言っていいゴールを沈めている、宮崎鴻がその人だ。その逞しい体格とダイナミックなプレーも印象的だが、実際の本人は優しく、明るく、実に大らか。常に礼儀正しさを欠かさないナイスガイでもある。そんな25歳の横顔を、おなじみの村林いづみに紹介してもらおう。
授けられた「鴻」という名前の通り、大きく大らかに育ってきた
「鴻」という名前は父がつけてくれた。「僕の父は中国の歴史がすごく好きなんです。『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』(「史記」陳渉世家より)という言葉があって、“大きい鳥のように、大らかな人間に育ってくれ”という意味を込めたそうです」
その言葉の通り、宮崎鴻は大きく育った。身長184cm。体格に恵まれただけではなく、ストライカーとしての技術や柔軟性も備える。いつもにこやかで、誰とでもフランクにコミュニケーションを取る姿が印象的だ。

森山佳郎監督は彼について、「FWとして多くのものを備えた選手。まだまだ成長していきそうな雰囲気が漂っています。子どもとかサポーターに一瞬で受け入れられていて、サッカースクールに行くと一番人気だったりするんです。彼の人を引き付ける魅力はすごいと思います。話してみると丁寧で、見た目の大きさ、ワイルドさとのギャップもあります。性格的にもポジティブ。水戸戦で追いついた後の、狂気のダンス、雄たけび(笑)。ああいう熱い魂も持っています。そういう選手がゴールを決めていくとチームが盛り上がっていきます」
ゴールセレブレーションもダイナミックだし、試合後の“勝利のダンス”も率先して踊る。トレードマークとなっている空中戦でも崩れないお団子スタイルの秘密について聞いても、嫌な顔せず「ゴムを二重にすること。オールバックはあらゆるグリースを試して今のスタイルに行きついた」と笑って教えてくれる。そんな彼にここまでの歩みや仙台に来てからの日々について聞いてみた(取材は3月28日に実施)。
古巣・栃木SCと仙台の対戦を外から見て感じたこと
――連戦2試合目のルヴァンカップ栃木SC戦はメンバー外でした。宮崎選手にとっては3年間所属し、良く知ったチーム。外から見てどのように感じていましたか?
「栃木SCは粘り強く守ってどこかで1点を狙っていくスタイルで、こういう展開(延長戦まで0-0、PK戦)にはなるだろうなと思っていたんですけど、やっぱりあれだけ仙台が攻めていたなかで決めきれなかったっていうのが全てかなと思います。仙台の選手は、本当に内容も圧倒していた試合でした」
――圧倒した中で1点が取れないというのは、FWとしてもチームとしても本当にもどかしい。苦しい試合でもありますよね。
「そうですね。でも本当にめっちゃ分かるんですよ。栃木SC相手だとなかなか点が決まらなくて、守備が堅いチーム。相手の小林伸二監督も前半かなり仙台に圧倒されましたけど、後半修正してきました。仙台にとっては修正してきた相手を崩しきれなかったというのが全てだったと思います。若手選手も結構試合に出ていましたし、今回の試合で学んで、これからどんどん成長してくれると思います」
――プロとして歩み始めた栃木SCでの3年間ではどんなことを磨き、高めた時期だったのですか?
「そうですね。何を高めたかって言われると、たくさんありすぎてちょっと絞れないんですけど……。やっぱり“プロサッカー選手とは何か”ということを教えていただきましたね。普段からの振る舞いや取り組みもそうですし、プレー面においても、メンタルの部分においてもです」
――どんな指導が印象的でしたか?
「僕は3年間で3人の監督を経験したんですけれども、時崎(悠)さん、田中誠さん、小林伸二さん、やっぱりそれぞれ違う監督。違うオーダーに対応する適応力にも身につけることができましたし、結果的にどの監督にも自分は使っていただいたので、そういった部分でも変化に対応していくとか、しっかりオーダーされたことを忠実にできるかという部分では本当に成長できましたし、何よりしっかり得点できる選手にしてくれたクラブなので、そういった部分ではFWとしての能力を高めてくれたクラブだったかなと思います」
FW育成に定評のある名将との出会い。小林伸二監督から受け取ったもの
――3人の監督、それぞれに特色ありますけど、特に小林伸二さんは経験豊富でストライカーを育てることにも定評がありますね。小林さんから学ぶ中で、FWとして伸ばせたところはどこでしたか?……



Profile
村林 いづみ
フリーアナウンサー、ライター。2007年よりスカパー!やDAZNでベガルタ仙台を中心に試合中継のピッチリポーターを務める。ベガルタ仙台の節目にはだいたいピッチサイドで涙ぐみ、祝杯と勝利のヒーローインタビューを何よりも楽しみに生きる。かつてスカパー!で好評を博した「ベガッ太さんとの夫婦漫才」をどこかで復活させたいと画策している。