ちばぎんカップの完勝で見えてきた“リカルド・レイソル”の輪郭。2025年の柏レイソルはまったく別のチームに生まれ変わる!

太陽黄焔章 第21回
衝撃的な試合だった。2月9日。ちばぎんカップ。リカルド・ロドリゲス監督の“お披露目”となった一戦で、柏レイソルはジェフユナイテッド千葉に3-0と快勝を収める。特筆すべきはそのゲーム内容。昨年とはまったく違うスタイルは、既にファーストプレーからピッチに滲んでいた。大きな期待を抱かざるを得ない2025年の“リカルド・レイソル”を、選手たちの言葉も交えて鈴木潤が展望する。
タフな細谷真大までもが、大の字になってしばらくは動けなかった
「僕がレイソルに来てから、間違いなく今年が一番きついキャンプですね」
1月下旬、鹿児島県指宿市で行われた柏レイソルのキャンプにて、戸嶋祥郎はそのように話していた。
とある日の午前練習では、練習終了の笛が鳴った瞬間、疲労困憊の選手たちは次々とグラウンドに倒れ込んだ。タフな細谷真大までもが、大の字になってしばらくは動けなかったと言えば、そのトレーニングがどれだけハードだったかが分かってもらえるだろうか。
しかもその日は2部練習であり、非公開で行われた午後練では、ボールを使った戦術練習が行われたと予想される。午前練で相当負荷をかけられた後だっただけに、選手たちは相当きつかったに違いない。
指揮官の意図を代弁するかのように、仲間隼斗が説明する。
「フレッシュな状態で試合をやれば、みんな良いプレーができる。でも連戦が続いたり、真夏の30度を超えた状態でやらなければいけないときは、コンディションを万全にできないときもある。じゃあそのときにどういうプレーをするのか。厳しい中でどういうふうにやっていくのか。そこで相手に弱みを見せてはいけないし、俺も今は結構体はきついですけど、ピッチに入ったらそれを見せないようにというのは心がけています」
リカルド・ロドリゲス監督が志向するのは、ボールを保持した攻撃的なサッカーだ。そのスタイルを具現化させるためには、攻守両面における高いインテンシティが求められる。こまめにポジションを取り続ける豊富な運動量が必要となり、ボールを失った瞬間には即座に切り替え、高い強度でボールを奪い返し、再び自分たちが攻撃へと転ずる。そのうえで疲労が蓄積した試合終盤でも、高いクオリティーを維持しなければならない。

“リカルド・レイソル”の初お披露目。ちばぎんカップの衝撃
柏はキャンプ中のトレーニングマッチだけでなく、紅白戦や戦術練習など、核心となる部分の練習はすべて非公開で行い、情報の流出を避けてきた。
したがって、2月9日にフクダ電子アリーナで行われたジェフユナイテッド千葉とのプレシーズンマッチ、ちばぎんカップが“リカルド・レイソル”の初お披露目となったのである。
そして柏は、昨季までとはまったく別の顔を見せた。……



Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。