プレミアで3位躍進!古豪復活のノッティンガム・フォレストはなぜ、強いのか?

新・戦術リストランテ VOL.50
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第50回は22節時点でプレミアリーグ3位と驚きの躍進を見せている古豪ノッティンガム・フォレスト。特に直近のリーグ戦8試合は7勝1分と絶好調だ。その強さの秘密に迫る。
「ブライアン・クラフ」以来の躍進
ノッティンガム・フォレストというと、どうしても『くたばれ!ユナイテッド』の話をしてしまっていたものでした。この英国映画の邦題には「サッカー万歳!」がくっつけられていますけど原題は『The Damned United』ですから、もうそのまんまです。
で、このくたばってほしいユナイテッドはマンチェスター・ユナイテッドではないんですね。リーズ・ユナイテッドです。主人公はブライアン・クラフ。ダービーをリーグ優勝させて、空席になったリーズの監督に就任するわけですが、そこで散々な目に遭う。当時のリーズはイングランドのトップクラブでした。そして一度物別れになっていたアシスタントコーチのピーター・テイラーと再会、新天地ノッティンガム・フォレストで再起を期すというところで物語は終わっています。
そう、フォレストはほぼ出てこないのですが、英国人はクラフ監督に率いられたフォレストがリーグ初優勝と欧州連覇を果たしたのを皆知っているので、そんな名監督にも辛い時期がありましたという話ですね。ハッタリが強くて、鼻持ちならない感じのブライアン・クラフと温厚誠実なピーター・テイラーの友情物語でもありまして、イングランドにおける監督とコーチの関係がよくわかります。
フォレストがほぼ関係ないこの映画をよく持ち出していたのはなぜかというと、他に話題がなかったからです(笑)。川を挟んで200メートルのノッツ・カウンティとともに最古のクラブでありながらリーグタイトルは1977-78の1回のみ。この時期にチャンピオンズカップ連覇を成し遂げていますが、プレミアリーグ初年度(92-93)に降格し、その後は長らく低迷したままでした。
それが今季、久々に脚光を浴びています。
22試合消化した時点で何と3位。勝ち点は2位アーセナルと同じです。ここ8試合は7勝1分、第21節では首位リバプールに1-1でした。今季の欧州で今のところ最強であろうリバプールとドローですからね。
プレースタイルは典型的な堅守速攻。今季のプレミアはビッグクラブが苦戦を強いられていて、逆に伏兵的なチームの躍進が目立ちます。その先頭を走るフォレストはなぜ強いのでしょうか。
戦術的なキーマンはギブス・ホワイトとアンダーソン
堅守が持ち味のフォレスト。中心軸に良い選手が並んでいます。……



Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。