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マスチェラーノが一生後悔する“横浜での出来事”。パリで傷を癒せるか

2024.03.03

EL GRITO SAGRADO ~聖なる叫び~ #2

マラドーナに憧れ、ブエノスアイレスに住んで35年。現地でしか知り得ない情報を発信し続けてきたChizuru de Garciaが、ここでは極私的な視点で今伝えたい話題を深掘り。アルゼンチン、ウルグアイをはじめ南米サッカーの原始的な魅力、情熱の根源に迫る。

footballista誌から続くWEB月刊連載2回(通算161回)は、元アルゼンチン代表キャプテンで現在はU-20U-23アルゼンチン代表監督を務める39歳に、生涯つきまとうであろう「過去の遺恨」について。

「ヘイター」たちからの絶え間ない誹謗中傷

 多くの日本人が抱くラテン系の人々のイメージは、「細かいことを気にせず楽観的」といったものだろう。それはほぼ間違いなく、ラテンの国アルゼンチンで暮らし始めてまもなく36年目に突入する私も、嫌なことはすぐに忘れてしまうこの国の人たちの前向きな姿勢には今も感心させられる。

 とはいえ時折例外があるのも事実で、特にサッカーの世界では、過去の遺恨が事あるごとに噴出するケースが散見される。つい先日も、U-23アルゼンチン代表を率いてプレオリンピコ(五輪予選を兼ねたU-23南米選手権、今年1月20日〜2月11日に開催)に参戦していたハビエル・マスチェラーノ監督がその「餌食」と化したのを目の当たりにしたところだ。

 マスチェラーノのチームは同大会で準優勝に終わったが、パリ五輪出場という第一目標を達成した上、最終日にブラジルを1-0で破って予選で敗退させ、宿敵が夢見た五輪3連覇の可能性を断つという、アルゼンチン人にとっては実に痛快なフィナーレを飾り、国内を大いに沸かせた。……

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Profile

Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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