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開幕勝利に導いた有言実行の男。アルビレックス新潟・新井直人が高め続けるのは自身とチームの価値

2024.02.27

大白鳥のロンド 第8回

幸先の良いスタートを切った。2024シーズンのJ1開幕戦。アルビレックス新潟はアウェイでサガン鳥栖と対峙。先制こそ許したものの、粘り強く逆転勝利を手繰り寄せる。殊勲の決勝点を挙げたのは、左サイドバックとしてスタメン出場した新井直人。その左腕にはキャプテンマークが巻かれていた。プロ6年目。再びアルビに帰ってきた27歳が宿すさらなるステップアップへの意欲を、おなじみの野本桂子に伝えてもらおう。

キャプテンマークを巻いて開幕戦のピッチに立つ

 有言実行のゴールだった。

 2024シーズンの幕開けとなった明治安田J1リーグ第1節。アウェイのサガン鳥栖戦で、新井直人は逆転ゴールを決めた。1−1で迎えた54分、小見洋太の右CKをニアサイドで鈴木孝司がそらすと、フリーでゴール前に走り込んだ新井が、頭できれいに押し込んだ。

 試合前、「攻撃でも守備でも、チームの中で目立つ存在になれればいいなって。開幕戦ではチームが勝てばいいと思ってはいますけど、最初からゴールを取りたい」と話していた新井。言葉通りに決めたゴールは、チームを今季初勝利へ導く決勝点となった。

 新井は最終ラインならどの位置でも精度高くプレーできるDF。実践学園高校から新潟経営大を経て19年に新潟へ加入。CBとして開幕スタメンデビューを飾った。21年にセレッソ大阪へ完全移籍し、22年に徳島ヴォルティスへ期限付き移籍。そしてJ1昇格1年目の23年に新潟からオファーを受け、再びオレンジのユニフォームに身を包んだ。今季はキャンプから左サイドバックとして起用され、堀米悠斗とポジションを争う中で、開幕戦のスタメンとしてピッチに立った。

 また今季は、秋山裕紀と共に副将を拝命した。主将の堀米が先発しない場合、副将がゲーム主将を務めることになる。この日は新井がキャプテンマークを巻いた。「巻く、巻かないで、やることは普段とそんなに変わらない。円陣での声がけはそんなにうまい方ではないですし、プレーで見せていけばいいかなと思っています」。そう謙遜したものの、まず新井はキックオフ前、ゴール裏に向かって胸のエンブレムを叩き、鳥栖まで駆けつけた約900人のサポーターの声援に、熱く応えた。

勝負の分かれ目になった1つのコーナーキック

 前半、風下に立った新潟は、ボールが走らないピッチに苦戦。つなぎのミスで鳥栖に与えたスローインの流れから、開始5分で失点を喫した。それでも、新潟は新潟らしくボールを動かし、ブロックを構えて勤勉に守る鳥栖を消耗させながら、チャンスを伺う。

 新井も中央の選手とパス交換しながら、左サイドから何度もいい崩しを見せる。31分には五分五分のボールを奪うと3人目の動きで自らゴール前に抜け出しビッグチャンス。振り抜こうとした足が、間一髪でボールを捉えたGK朴一圭に入って警告を受けたものの、強い気持ちが現れた場面だった。……

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Profile

野本 桂子

新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。24年4月からクラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。

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