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首位快走FC町田ゼルビアの“トップランナー”。荒木駿太が秘める可能性

2023.05.27

ゼルビア・チャレンジング・ストーリー 第1回

町田の名を全国へ、そして世界へ轟かせんとビジョンを掲げ邁進するFC町田ゼルビア。10年以上にわたりクラブを追い続け波瀾万丈の道のりを見届けてきた郡司聡が、その挑戦の記録を紡ぐ。

第1回は、2023シーズンをジョーカーとしてスタートし、本職ではないポジションで起用されながらも期待に応え高パフォーマンスを披露している荒木駿太にフォーカス。“噛めば噛むほど味が出る”その魅力や、選手としての“核”に迫る。

 託されたポジションはまったくの想定外。コーチングスタッフからの指示を聞いた荒木駿太は、一気に緊張感が増した。

 前半終了時点でのスコアは0-1。試合序盤から1点を追い掛ける展開となった第14節のファジアーノ岡山戦、ハーフタイムでのことだった。後半スタートからの途中出場に向けて準備を進める荒木が配置されたポジションは、ダイヤモンド型の中盤の頂点。[4-2-3-1]のトップ下ならまだしも、ダイヤモンドの頂点は荒木にとって、未知の領域だ。

 「ダイヤモンドのトップ下は初めてです。さすがに緊張しましたよ」

 それでも、荒木はいざピッチに立つと堂々と振る舞った。2列目の中央よりもダイヤモンドの頂点の方が考え方は守備重視。ボール非保持の状況においては、アンカーの下田北斗と並ぶような形でポジションを下げ、ボール保持の状況になれば、エリキとミッチェル・デュークの2トップを近くでサポートする。その分、上下の活動量は多くなるが、武器と自負する走力と運動量を発揮できるシチュエーションを前に、しばらく時間が経過すると、7番の闘志に火がついた。荒木が言う。……

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Profile

郡司 聡

編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、エルゴラッソ編集部を経てフリーに。定点観測チームである浦和レッズとFC町田ゼルビアを中心に取材し、『エルゴラッソ』や『サッカーダイジェスト』などに寄稿。町田を中心としたWebマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。マイフェイバリットチームは1995年から96年途中までのベンゲル・グランパス。

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