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リスク度外視のプレッシングはどこへ?日本に撤退を強いたクロアチアの無頓着さ

2022.12.08

日本戦徹底解剖

PK戦の末、クロアチアに及ばずラウンド16でカタールW杯から姿を消した日本代表。4度目となった8強への挑戦はなぜ敗戦に終わったのか。2月9日に発売する『森保JAPAN戦術レポート』の著者らいかーると氏が分析する。

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日本を撤退させたロングボール

 クロアチアがデザインされたキックオフで敵陣ペナルティエリアに侵入したかと思えば、今度はショートコーナーを披露した日本の谷口彰悟が惜しいヘディングシュートを放つ。両チームの立ち上がりは、この試合にかけてきた準備を惜しみなく出していく決意を十分に感じさせるものだった。

 序盤、[3-4-3]または[5-2-3]で構える日本のプレッシングで見られたのは攻撃的な姿勢。[4-3-3]を基本布陣とするクロアチアのゴールキックに対しても、後方の同数3対3を受け入れていた。それでもボールを繋ごうとするクロアチアのビルドアップに対して、前田大然がGKドミニク・リバコビッチまで襲いかかった場面は、まさに日本の狙い通りだっただろう。

 しかしそのプレッシングを目の当たりにしたクロアチアは、即座にゴールキックを蹴っ飛ばすようになる。前線が同数ならためらわずにロングボールを送り込むというサッカーの原則に忠実で、ボール保持による試合支配にこだわる様子はまったくなかった。日本対策として長友佑都を狙うのが定跡となりつつある中、冨安健洋(188cm)、吉田麻也(189cm)というワールドクラスの高さを誇るエリアにも平気で放り込んでくる無頓着さは異常とも言える。なお、3回目のゴールキックで冨安のスリップからクロアチアは最初の決定機を迎えていた。

 日本は堂安律が左CBヨシュコ・グバルディオルにボールを入れさせない立ち位置を取ることが多かった。これもその積極的な姿勢を象徴する具体例となるだろう。しかし、グバルディオルは堂安から離れながら巧みにボールを受け、それでも寄せてくるようであればゴールキック同様にさっさと蹴っ飛ばすプレーを見せていく。

 そうしたロングボールはそのまま日本のゴールに迫ったり、セカンドボールがこぼれる結末を迎え、どちらかと言えばクロアチアがボールを前進させることに成功していた。ゴールキックや流れの中でリバコビッチがボールを持った時に果敢なプレッシングを見せてくるならば、ロングボールで相手を敵陣に押し下げてからボールを保持すればいい。そのまま得点を狙えるならばそれもよし、というクロアチアの柔軟な姿勢が見られている。

 そのボール保持でキーマンを担ったのはマルセロ・ブロゾビッチ。いわゆる中央レーンにこだわらないアンカーで、ボールホルダーの状況に応じて登場してはボール保持の継続に力を発揮していた。スペイン戦とは異なって前田がアンカー番を当初は担当しなかったこともあり、ブロゾビッチがサイドのユニットに参画することでボールを逃がす場面が多々見られた。

颯爽とボールをさばくブロゾビッチ

 ブロゾビッチを監視したり、CBまで寄せたりと前田の役割こそ安定しなかったものの、日本はこの試合のプランを披露し始める。ゴールキックや流れの中でリバコビッチがボールを持ったら相手陣地からプレッシングを行い、ロングボールで対応されれば全体のブロックを下げて構える作戦だ。

 スペイン戦で見受けられた左右非対称感もなければ、CBにボールを下げた時にプレッシングを開始する素振りも基本的にはない。また、シャドーとウイングバックがサイド攻撃に対応する約束事になっていたため、日本の両脇のCBは迎撃役というよりも遊軍として余る設計になっていた。時間の経過ともに堂安がグバルディオルまでプレッシングをかけないようになると、クロアチアにスペースを与えない策に移行して試合を進めるようになる。

ボールを繋ぐ勇気が実を結んだ先制点

……

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Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。

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