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エラス・ベローナの堅守を支える20歳の大器。マッテオ・ロバートに要注目

2020.10.27

 開幕5試合でわずか2失点。堅守を誇るエラス・ベローナに、急成長を果たしているイタリア人の若手DFがいる。20歳の大型CBマッテオ・ロバートだ。

チャンスを生かし先発に定着

 10月25日のユベントス戦では3バックの中心としてプレーし、パウロ・ディバラやアルバロ・モラタらの攻撃陣にもアグレッシブにぶつかっていった。そしてエリア内でのスペースを丁寧に潰し、失点を1に抑えた。翌26日の地元紙の評価は非常に高く、『コリエレ・デッロ・スポルト』紙は「DFにおける素晴らしい発見」と7点を付けていた。

 ロバートはこの試合で突発的に良いパフォーマンスをしたわけではかった。開幕のローマ戦でアラン・アンプルールの故障により前半から急きょ駆り出されると、相手の攻撃陣を見事に抑えてスコアレスドローに持ち込んだ(その後、ローマの選手登録規定違反により3-0の勝利が確定)。

 イバン・ユリッチ監督はこの活躍を高く評価し、ウディネーゼ戦でもチャンスを与えたところ、無失点勝利に貢献した。以降は完全にスタメンに定着し、アリアンツ・スタジアムに行ってドローをもぎ取ってくるまでに台頭を果たしたというわけだ。

昇給は時間の問題

 ロバートはパドバの下部組織出身。ジェノアに引き抜かれた後、再び古巣にレンタルの形で戻るというキャリアをたどった。そして2019年にパドバの保有選手となると、サルバトーレ・スッロ監督に才能を評価され、トップチームのスタメンとして定着した。

 この活躍を目に留めたエラス・ベローナのトニー・ダミーコSDは、冬のメルカートでの獲得を決意した。

 トップチームではアミル・ラフマニ(現ナポリ)やマラシュ・クンブッラ(現ローマ)が大活躍中だったことに加え、自身も故障を抱えたこともあり、昨季の出場はアタランタ戦の8分間に留まった。だが、ユリッチ監督はロバートがこの短い出場時間で堂々とプレーしたことに感銘を受け、今季は手元に置く決断をしたという。

 ロバートの年俸はエラス・ベローナの選手の中でも最も低い8万ユーロ(約992万円)だというが、「昇給するのは時間の問題だ」と地元紙では報じられている。

 ユリッチ監督は地元メディアに対して「スピードがあり、我われが欲した存在だ」と彼を評価し、「高いレベルに到達するためにはもっとトレーニングを積んでもらわなければならないが、時間を与えればブレイクする」と将来の成長に期待していた。

 若手の活躍が目立つ今季のエラス・ベローナだが、その多くはレンタルだ。保有選手であるロバートが活躍して市場価値を上げることは、経営面においてもクラブの利益につながる。「セリエAで10年に1度出るか出ないかの才能」と言われたクンブッラらの抜けた穴を埋める新たな才能の出現に、熱い視線が注がれつつある。


Photo: Getty Images

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エラス・ベローナジェノアユベントス

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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