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メッシ、バルセロナ残留を表明。しかし“一件落着”とはならない

2020.09.05

 スペイン時間9月4日午後、メッシが沈黙を破り、バルセロナに残ることを発表した。

裁判を回避するため残留

 8月25日に移籍希望が明らかになり、グアルディオラとリージョがバルセロナ入りした時には噂通りマンチェスター・シティへの移籍が確実と見られていた。

 しかし、その後バルセロナが違約金7億ユーロを要求して法廷闘争を辞さない強い態度を示し、ラ・リーガがこれを支持する声明を出してから状況が一転。急きょアルゼンチンから飛んだ父で代理人のホルヘ・メッシがバルトメウ会長と直接会談するも結論が出ず、メッシ側も喧嘩別れは好まないだろうという観測が出ていた。

 違約金問題が法廷闘争に持ち込まれれば、メッシのイメージは大きくダウンせざるを得ず、敗訴した場合マンチェスター・シティには違約金を払う用意がなかった。

 いずれにせよ、バルセロナとメッシの契約は残り1年間に過ぎない。来年6月末には自由契約となるし、1月には自由に移籍交渉を行えるようになる。

 マンチェスター・シティは合法的に無料でメッシを手に入れられるし、一方のバルセロナは本人を説得する時間を稼ぐことができた。両クラブにとってベストではないものの、ベターな決着だったと言える。

バルセロナは爆弾を抱えた

 だが、問題はメッシ本人の気持ちの方だ。

 残留発表はインタビューという異例の方法で行われたのだが、それを読むと(コピーライトを侵害したくないので引用はしない)、本人が傷付き、特に会長に対しては反発というか、恨みに近い感情を抱いていることがはっきり伝わってくる。

 彼は出て行きたかったが、約束を破られたせいで残るしかなくなった、という意味のことを何度も繰り返しているのだ。

 メッシの残留はファンや経済的損失を心配していた者たちには喜ばしいことだろう。だが、会長は手放しで喜んでいるわけにはいかない。

 インタビューという形で明らかにされたメッシの批判に対し、公に何らかの反応をしなければならない。メッシのいわば公開書簡によって、密室の会議で穏便に済ませる道はなくなった。

 ボールは蹴られた。今度は会長が蹴り返す番だ。

 メッシは残留する。プロ意識の高い選手だから全力でプレーするだろう。だが、それと引き替えに、現フロントは内部に爆弾を抱えることになった。インタビューを読めば、メッシに味方する者はすなわち会長の敵である、という構図ができてしまったことがわかる。

 この騒動、まだまだ一件落着とはいかない。


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。