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切っても切れないオンラインギャンブルとの関係性。リーガ再開で広告も解禁に

2020.06.16

 リーガ再開とともに、ブックメーカーの広告も帰ってきた。スペイン政府はセビージャ対ベティスの前日となる6月10日、オンラインギャンブルの広告を解禁した。

広告禁止で中毒者増加を抑制

 3月13日に非常事態宣言が出されて以来、オンラインギャンブルの消費が急増して問題になっていた。

 サッカーなどプロスポーツが中止となり、スポーツ関係の賭けが減った代わりに、ポーカーやルーレット、宝くじなど運の要素が強いギャンブルが、外出禁止で手持ち無沙汰な人たちの人気を集める結果になっていた。その中には、休校中の未成年者も多数、含まれていると推定された。

 ギャンブル中毒者の増加を恐れた政府は3月31日に非常事態宣言中のオンラインギャンブルの広告を制限し、消費を抑制することに成功していた。

 非常事態宣言が6月21日まで継続するにもかかわらず、オンラインギャンブルの広告が解禁になったのは、もちろんプロサッカー界のメインスポンサーがブックメーカーだからだ。

 広告禁止が継続されれば、ユニフォームや試合中に流される電光掲示を変更せざるを得ないだけでなく、スポンサー料の割引にも応じなくてはならなかったに違いない。

1部の17クラブがスポンサー契約

 現在、1部リーグのクラブの中でユニフォームの胸にオンラインギャンブル会社の名を掲げているのは、バレンシア、セビージャ、レバンテ、オサスナ、グラナダ、レガネス、アラベス、マジョルカの8クラブ。何らかの形でスポンサー契約を結んでいるクラブを含めると、20クラブ中17クラブとなる。

 例外はビジャレアル、バジャドリー、レアル・ソシエダだけ。Rソシエダは2018年、ソシオと株主を対象に投票を行い、圧倒的多数でスポンサー契約を否決した過去がある。

 未成年者のファンを多数抱えるサッカークラブの社会的責任や、オンラインギャンブルが八百長や違法ギャンブルの温床になっていることを考えると、オンラインギャンブルを締め出すのが正しいのだろうが、年間数百億円を広告費に注ぎ込むこの業界を無視できないサッカー界の事情がある。

 ブックメーカー側としても、試合の観戦者や視聴者が潜在的な顧客となるリーガを手離すわけにはいかない。“健康には悪いが必要”、つまり必要悪であるという暗黙の合意が成立しているわけだ。

 一方で、サッカーとオンラインギャンブルの縁を切った国もある。コロナ禍の問題試合とされたアタランタ対バレンシアで、バレンシアの胸スポンサー欄は空白だった。アヤックス対バレンシアも同じ。オランダとイタリアは、サッカーの試合でのオンラインギャンブルの広告掲出を禁じているからだ。


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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