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「フットボールはチェスのよう」。チェス世界王者が自ら証明した事実

2019.12.24

 「フットボールはチェスのようだ」。誰でも一度は耳にしたことのある格言だと思う。とりわけ戦術論を好むイタリアでよく使われる表現だが、実は現代のプレミアリーグにも同じことが言えるのかもしれない。あるノルウェー人がそれを証明してみせた。

チェスの世界王者にしてゲームの「元」1位

 29歳のマグヌス・カールセンという人物をご存知だろうか? 彼は2013年に22歳11カ月の若さでチェスの世界王者になったチェス界の偉人である。そして、熱狂的なサッカーファンとしても知られている。

 レアル・マドリーの大ファンであり、世界王者に輝いた後にはサンティアゴ・ベルナベウでのキックオフセレモニーに招かれたこともある。もちろん、自身でサッカーをプレーするのも大好きだという。そんな彼が今回、チェスの世界ランクだけでなく、プレミアリーグでも1位に立ったのだ。

 彼が1位に浮上したのは『ファンタジー・プレミアリーグ』というプレミアリーグの公式ファンタジーゲームである。決められた資金の中で自分の好きな選手を選んで理想のチームを作り、実際の試合で選手たちが獲得するポイントを競い合うゲームだ。ポイントは試合結果に加え、得点やアシスト、出場時間や無失点試合などでも加算されるという。

 日本ではまだまだ知名度の低いゲームだが、英国では昔から親しまれており、今シーズンの『ファンタジー・プレミアリーグ』の登録者数は700万人以上。英国の『BBCラジオ』では専門番組が毎週放送されており、元ブラックバーンのFWクリス・サットンが司会者とゲームで競い合っている。

 カールセンは、そのゲームで12月14日に首位に立った。すると彼のツイッターアカウントのプロフィールも更新され、「チェス世界王者」、「チェス世界ランク1位」の他に「ファンタジー・プレミアリーグ1位」と追記された(その後、首位から陥落したため「元」と修正されている)。

データを駆使して700万人のトップに?

 彼のチームの稼ぎ頭はリバプールのFWサディオ・マネやレスターのFWジェイミー・バーディー、そして『ファンタジー・プレミアリーグ』では英雄と崇められているシェフィールド・ユナイテッドのDFジョン・ランドストラムだ。DFとして最多ポイントを稼いでいる同選手にはカールセンも感謝しているようで、「ランドストラム」と書かれたマグカップを愛用し、その写真をツイッターに載せている。

 では、カールセンは一体どのようにして700万人ものライバルを抑え、本職ではない分野で1位まで上り詰めたのだろうか。

 英紙『The Guardian』が連絡を取ったところ、カールセンから1行のメールが返ってきたという。

「ファンタジーフットボールでの私は、optimist(楽天家)であり、“Optamist”でもある」

 どうやらカールセンは、チェスの世界王者にして『ファンタジーフットボール』でも一流であり、“データに強く”、ユーモアまで兼ね備えているようだ。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。