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幼馴染FWコンビにバルサの新鋭。フランス代表が層の厚さを示す

2019.09.13

ムバッペらの欠場を埋めた幼馴染FWコンビ

 9月の国際マッチデーで、フランスは2020年のユーロ予選2試合を戦った。7日のアルバニア戦に4-1、10日のアンドラ戦に3-0とホームで連勝して、5勝1敗の勝ち点15とし、同勝ち点でトルコの下につけている。6月にトルコに敗れてやや停滞気味だったが、その次のアンドラ戦(アウェー)から3試合で3連勝。いずれも小国が相手ではあるが、ディディエ・デシャン監督が今回の目標に掲げた「勝ち点6ゲット」は無事クリアした。

 この2試合で目立ったのは、いつもとは違うメンバーの活躍だ。

 キングスレイ・コマン(バイエルン)、ジョナタン・イコネ(リール)のフォワード2人と、バルセロナのセンターバック、クレマン・ラングレ。コマンとイコネについては、ウスマヌ・デンベレ(左腿)とキリアン・ムバッペ(ハムストリング)がそろって負傷欠場中だったこともあっての起用だったが、結果的にポジティブな手応えを生み出した。

 コマンは2016年のユーロにも出場しているが、2017年11月を最後に今年の6月まで代表はご無沙汰だった。昨年、膝の靭帯を故障したこともあるが、以前、フットボリスタ本誌でレイモン・ドメネク氏に話を聞いたときも、元フランス代表監督はコマンについて、「気の弱さがある。思い切って突破を試みれば良い場面でも、勇気がなくてバックパスに逃げてしまう」と代表に定着するために必要な課題を挙げていた。

 しかし、今回はアルバニア戦ではラファエル・バランの先制点に絡み、自らも3点目をマーク。そしてアンドラ戦でも先制点と、堂々の結果を出してみせた。

 そのコマンと絶妙なコンビネーションを見せたのがイコネだ。

 アンドラ戦の18分、右寄りの位置でボールを受けると、するすると中へと切り込み、絶好のタイミングでコマンへ向けてリリース。同じようなハイテンポの攻撃アクションは、リールでも身にしみているから、イコネの真骨頂、といった感じのプレーだった。

 A代表デビュー戦だったアルバニア戦でさっそく初ゴールをあげた21歳のFWについて、レキップ紙の代表番バンサン・デュルク記者も、「このパフォーマンスがキープできるなら、エムバペが戻ってからも彼が起用される可能性は十分にある」と絶賛していた。

 その2人、イコネとエムバペは、同じ98年生まれで、パリ郊外の町クラブASボンディでともに育った、いわば幼馴染みの関係だ。そしてイコネはその後入団したパリ・サンジェルマンでもコマンとチームメイトだった。もともとあった素質が、現在所属するリールで、ゴルティエ監督の指導によって引き出されてきた感じだ。

ラングレも、代表定着の兆し

バルサで存在感を増すラングレは、代表にも定着していく予感

 そして6月のアンドラ戦(アウェー)でデビューしたラングレも、ゲンの良い相手とのホームでの再戦で、アントワヌ・グリーズマンからのピンポイントのFKをヘディングで押し込み、早々に代表初得点を挙げた。

 レ・ブルーのセンターバックは、右側はラファエル・バランで確定している感じだが、左側は、W杯で活躍したサムエル・ウムティティやPSGのプレスニル・キンペンベ、チェルシー所属のクルト・ズーマらが出番をうかがっている状況にある。

 そこへ、バルサでもウムティティからポジションを奪っているラングレも参戦してきた。カバーリングに巧さがあるのに加え、ヘディング弾も実に見事だった。彼の招集はこの先も定番になっていくような予感がする。

 昨年のW杯優勝メンバーも、サイドバックのバンジャマン・パバールやリュカ・エルナンデスら、大会数カ月前に代表入りしたばかりの新顔が活躍したが、来年のユーロまでにも、まだまだデシャン監督には試したいコマがあるようだ。

 ちなみに10日のアンドラ戦は、スタッド・フランスでの100マッチ目で、記念すべきこの節目を晴れて勝利で祝うことができた。

 98年のW杯のために建設されたこのナショナルスタジアムでの栄えある『こけら落としマッチ』は、1998年1月28日に行われたスペインとの親善試合。ジネディーヌ・ジダンの得点で、フランスが1-0で勝利した。それから約半年後に、同じ場所でフランスはブラジルを破って、ジュール・リメ杯を掲げた。

 2018年のユーロでは残念ながらこのスタジアムで優勝を祝うことはできなかったが、このスタジアムはこれからもまだまだ、レ・ブルーの名戦を飲み込んでゆくことだろう。

Photos: Getty Images

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キングスレイ・コマン

Profile

小川 由紀子

1992年より欧州在住。96年から英国でサッカー取材を始め、F1、自転車、バスケなど他競技にも手を染める。99年以来パリに住まうが実は南米贔屓で、リーグ1のラテンアメリカ化を密かに歓迎しつつ、ブラジル音楽とカポエイラのレッスンにまい進中。