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とあるバーンリーファンの愛情。同時開催の2試合を両方観た男

2019.07.25

クラブ愛があれば、ダブルヘッダーもなんのその

 サポーターにとっての最大の試練、それはどうやって同時開催の2試合を観戦するかだろう!

 8月から始まるプレミアリーグの新シーズンを前に、どのクラブも準備に余念がない。親善試合を組んで実戦形式でコンディション調整を行っているところだが、全選手が十分に出場時間を得ることはなかなか難しい。そこでバーンリーなどは、1日に2試合、いわゆるダブルヘッダーを組んでいる。それも別会場で同時刻にキックオフで!

 7月20日、バーンリーはチームを2つに分けてポートベールとクルー・アレクサンドラ(共に4部のクラブ)との親善試合を行った。ダブルヘッダーについてショーン・ダイシ監督は「数年前、プレシーズン中に十分な出場時間を得られない選手がいたからね」と説明する。結果はというと、監督の有無が影響したのか、監督が帯同したポートベール戦は3-1と快勝したが、コーチ陣が率いたクルー戦は0-1の敗戦に終わった。

 たしかにダブルヘッダーは選手たちのコンディション調整に適しているかもしれないが、サポーターにとっては悩みの種だ。今回のバーンリーは均等に戦力を分けたため、レギュラー組と控え組というわけではない。だから、どちらの試合を見に行くべきかサポーターたちも迷ったはずだ。しかし、熱狂的なファンとして知られるデイブさんともなると違った。「ポートベール戦かクルー戦か……馬鹿言え。両方行くだけさ!」とSNSで宣言したデイブさんは、英紙『ガーディアン』にて妙案を明かした。

 ポートベールとクルーの本拠地は24kmしか離れていない。そのため試合前半はポートベール戦を観戦し、「試合途中にクルーへ移動する」というのだ。「タクシー、電車、徒歩」で、後半の途中からクルー戦を観戦する算段だ。

45年間「皆勤賞」のプライド

 だが、なぜそこまでして2試合とも観戦したいのか。そこには彼のクラブ愛とプライドがあった。筋金入りのサポーターであるデイブさんは、過去50年間でたった1試合しかバーンリーのゲームを見逃していないのだという。その見逃した1試合というのは、悪天候で日程変更になった1974年のニューカッスル戦。それ以降、なんと45年間も“無欠勤”なのだ。

 彼のクラブ愛は、それだけに留まらない。それは彼のフルネームを見れば一目瞭然だ。彼は1976年に役所で手続きを行い、デイブ・バーンリーという名前に改名したのである! そして娘さんの名前にもクラブ愛が反映されている。当初デイブさんは「バーンリー・バーンリー」と名付けようとしたが、さすがに周囲から反対されたそうで「クラレット(Clarette)・バーンリー」と名付けることに。当然、クラブカラーのClaret(クラレット)から拝借した名前だ。

 さらにデイブさんは、愛するバーンリーの試合に出場したこともあるという。バーンリーは1979年のオフシーズンにスペインのマジョルカで合宿を張っていたが、なかなか対戦相手が見つからず、地元のアマチュアクラブと試合をすることになった。バーンリーのファンで観戦に訪れたのはデイブさんただ1人。すると試合も残り20分となったところで選手が呼びに来て、出場を勧めてきたのだ。

 当時26歳で草サッカーもやっていたデイブさんは、センターフォワードとして投入されると見事に2得点。7-2の勝利に貢献したんだとか。ちなみに、そのうち1得点はクロスからヘディングシュートという、実にバーンリーらしい得点だったそうだ。


Photo: Getty Images

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ショーン・ダイシバーンリー文化

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。