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フィオレンティーナ、売却完了。セリエAにまたアメリカ資本が

2019.06.08

今季セリエAで16位のフィオ、経営権交代

 フィオレンティーナは6日、イタリア系アメリカ人の投資家ロッコ・コンミッソがオーナーのディエゴ・デッラ・バッレからクラブの経営権を取得したと発表した。ローマ、ボローニャ、ミランに続き、またしてもアメリカ資本がセリエAに流入することになった。

 コンミッソ新会長はイタリアのカラブリア州生まれで、12歳の時にアメリカに移住。苦学ののちにコロンビア大学を卒業し、1975年にコロンビア・ビジネス・スクールでMBAを取得。ケーブルテレビ会社の経営に長年携わったのち、1995年にケーブルテレビやインターネットの放送事業会社『メディアコム』を設立した。米経済紙『フォーブス』によれば、総資産はおよそ48億ドル(約5200億円)。具体的な買収額は明らかにされていないが、およそ1億6500万ユーロ(約201億円)でフィオレンティーナの経営権を取得したと地元紙は伝えている。

 コンミッソといえば、ミランの経営権取得に乗り出したことでも名が知られている。しかし第一候補は、あくまでフィオレンティーナだったというのだ。彼の片腕として情報収集や交渉に当たったジョー・バローネがイタリアの複数の地元メディアに「以前にも話を持ちかけたがデッラ・バッレ家に断られていたため、ミランの獲得交渉にあたった」と説明している。

「ここにはたくさん金を使うために来た」

 6日付の『コリエレ・デッロ・スポルト』は、「コンミッソの選択は下部組織までを視野に入れたものだ」と報じている。彼らは育成部門を経営上の基礎的な事項とみており、数年にわたってフィオレンティーナのクラブ環境をモニタリング。そしてバローネは視察の際にトレーニングセンターの拡充計画なども見て、詳細なデータを持ち帰ったというのだ。

 ただ目標はやはり、なるべく早くチームを強化することにある。新会長はイタリア国営放送『RAI』のインタビューに対し「ここにはたくさん金を使うために来たよ」と、新スタジアムの建設計画なども含めた資本投下への意欲を見せている。また市場価値急騰中で放出濃厚と見られていた新エースのフェデリコ・キエーザも、慰留する方向で動いているのだという。

デッラ・バッレ家は02年にクラブを買い取った(左がオーナーだったディエゴ、右が実弟のアンドレア)

 一方、今回の経営譲渡にあたっては重要なことがひとつある。デッラ・バッレ家が、良好な経営状態でクラブを売却したということだ。2018-19シーズンは1500万ユーロの赤字決済の見込みだが、これは前シーズンに計上した黒字分でカバーできる範囲。もとよりUEFAのフィナンシャル・フェアプレーの基準は遵守している。2002年に経営破綻に陥ったクラブを救ったイタリア人投資家は、時に批判も浴びながら良好なやりくりを続けた。

「我われはできることはやり尽くしたと思う。今度の経営者はソリッドな基盤のある方なので、ファンの皆さんは安心なさって良い」

 オーナーのディエゴ・デッラ・バッレは、複数の地元メディアにそう語った。

Photos: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。