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サッカー界は平和のために…イタリアサッカー界で見られた反戦への訴え

2022.02.27

 ロシアのウクライナ侵攻の影響が、イタリアのサッカー界でも徐々に色濃くなっている。

 イタリアサッカー連盟(FIGC)は、セリエA第27節10試合を含む全試合の開始を5分間遅らせることを決定。「平和のメッセージのために一つになることを促進させるため」という理由によるもので、開始前5分間には「イタリアのサッカー界は平和のためにピッチに降りる。戦争は意見の不和を解決する手段ではない。対話が促進されるように望む。サッカーは政治には関わらないが、平和は訴える」というメッセージが読み上げられた。

平和へのメッセージを発信

 イタリアサッカー関係者の間では、シャフタールを指揮するロベルト・デ・ゼルビ監督とスタッフに心配が寄せられていた。ウクライナリーグ再開の可能性があったため国内に留まっていたが、中止が決定したため出国を決意。スポーツ専門テレビ局『スポルトイタリア』によれば、イタリア大使館からの許可が下り次第、滞在先のキエフから数時間中に車でポーランドかルーマニアに抜けるという。

 セリエAクラブに所属するウクライナ人選手はそれぞれメッセージを発信した。スペツィアMFビクトル・コバレンコは「平和が早く訪れますように。この攻撃で家族や同胞が涙し、苦しい思いをするのを見るのは辛い」と訴えた。

 また、アタランタMFルスラン・マリノフスキーは、2月25日のUEFAヨーロッパリーグ、vsオリンピアコス戦での得点後、アンダーシャツに書いたメッセージを見せて反戦をアピールした。

 同試合ではサポーターからマリノフスキーをキャプテンにするよう陳情があったものの、同クラブにはロシア人のアレクセイ・ミランチュクが所属する関係でチーム内に緊張を作りたくないという判断から見送られたという。なお『コリエレ・デッラ・セーラ』は「両者の仲は元々良く、侵攻後も練習場では普段通り接している」と報じている。

経験者が語る戦争の重み

 一方カタールW杯欧州プレーオフでロシアと対戦拒否の姿勢を打ち出したポーランド代表のユペントスGKボイチェフ・シュチェスニーは、イタリアメディアの前でも改めて意志を表明。「僕自身がそうすることに決めたし、チームメイトもそうしてくれることはうれしい。(棄権扱いで)敗戦となっても正しい決断をしたと思う」と断言し、「ロシア国民に恨みの感情はないし、大多数は戦争に反対だと思う。政府がああいう判断をしたのは酷いことだ」とロシア政府を批判した。

 また、取材の場では、戦争を経験した東欧出身の監督や選手がコメントを求められた。セルビア人であるボローニャのシニシャ・ミハイロビッチ監督はサレルニターナ戦の前日会見で「直接巻き込まれたものにとって、サッカーとの両立は簡単ではない」と当時の心境を告白するうちに言葉を詰まらせた。

 そして2月26日の試合後には、配信サービス『DAZN』のインタビューで「爆撃の様子を聞くと30年前を思い出す。戦争の話をしていくうちに慣れていって、誰も話さなくなるようなことはやめてほしい。戦争はすべて一緒で、勝者はなく、ただ罪のない者が死ぬものであることを若者にも知ってほしい」と、戦争経験者の立場からウクライナの戦乱を報じる側、また情報を受け取る側に理解を求めた。


Photo: Getty Images

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神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。