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クラブW杯常連のモンテレイに元チリ代表のレジェンドが“帰還”

2021.09.02

 2010-11シーズンからCONCACAFチャンピオンズリーグで3連覇を飾るなど、メキシコ屈指の強豪であるモンテレイ。日本で開催された2011年、2012年のクラブW杯に出場したことを覚えている方もいるはずだ。そんなモンテレイに、このほどある“レジェンド”が帰還した。

公式戦通算121ゴール

 モンテレイは2部リーグに「Raya2(ラジャードス)」というリザーブチームを所有している。2部リーグは2019-20シーズンまで「アセンソMX」という名称で運営されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって2020年4月にリーグがストップし、そのまま打ち切りとなった。

 2部のクラブは慢性的な資金不足を抱えており、リーグ戦の中止によって多くのクラブが経営難に陥った。そこで1部、2部各クラブの会長とメキシコサッカー連盟幹部が会合を行い、16チームによる「リーガ・デ・エクスパンシオン」というリーグに再編された。

 向こう6年間は1部昇格、3部降格を行わないというルールを定め、各クラブの経営安定化を目指すのが同リーグの最大の目的だが、一方で1部リーグ所属クラブのリザーブチームの参入も許可された。これらのチームは若手育成が目的であり、モンテレイも2021年6月にラジャードスを設立し、2021-22シーズンから参入させることになった(これによりリーグ戦は17チーム制に)。

 そして8月30日、モンテレイはラジャードスに元チリ代表FWウンベルト・スアソが加入することを発表した。2007年から2015年までモンテレイのエースストライカーに君臨し、公式戦通算121ゴールを積み上げた文字通りのレジェンドで、彼が着用していた背番号26はモンテレイで欠番となっているほどだ。

22歳FWとのペアに期待

 スアソは現在40歳。2016年1月に一度は現役を退いたが、2017年6月に復帰し、チリ国内のクラブでプレーしていた。そしてラジャードスの設立を機にモンテレイがオファーをし、6年ぶりに慣れ親しんだ縦縞のユニフォームに袖を通すこととなった。

 ちなみに、ラジャードスの監督に就任したアルド・デ・ニグリスは、スアソと同時期にモンテレイで活躍した元ストライカーで、強力な2トップを形成していた。今回は監督と選手という立場ながら黄金ペアが復活し、ファンも沸き立っている。

 「私の責任は大きい。若い選手たちとともにトレーニングをし、自分の経験を伝えることで彼らの成長を促し、トップチーム昇格のサポートをしたい」と意気込みを語るスアソ。彼とのプレーを心待ちにしているのが、22歳のストライカー、ダニエル・ラフードだ。

 ラフードは2014年からモンテレイのアカデミーに所属し、2018年にはトップデビューも飾った。その後、様々なクラブへの期限付き移籍を重ね、今季からラジャードスでプレーする。彼は元々スアソの大ファンで、アカデミー加入前の2013年にはモンテレイの練習場を訪れ、スアソとのツーショットを撮影している。今回、スアソ加入が決定した際には14歳の時に撮影したその写真をツイッターにアップし、「おかえりスアソ。あなたと一緒にプレーできるなんて名誉なことだ」とメッセージを送った。 この新たなペアにも、モンテレイのファンは注目している。


Photo: Getty Images

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アルド・デ・ニグリスウンベルト・スアソモンテレイ移籍

Profile

池田 敏明

長野県生まれ、埼玉県育ち。大学院でインカ帝国史を研究し、博士前期課程修了後に海外サッカー専門誌の編集者に。その後、独立してフリーランスのライター、エディター、スペイン語の翻訳家等として活動し、現在に至る。

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