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【視聴無料/オンラインセミナー】子どもの育成に関わる、すべての指導者のための5日間 8.27~8.31「SPODUCATION COACH Festa」開催!

2021.08.26

トップアスリートから指導者まで、「スポーツから学べる人間力」を題材に、さまざまな切り口でオンラインセミナーを開催している「SPODUCATION」が、8月27日(金)から31日(火)の5日間、子どもの育成に関わるすべての指導者のためのオンラインセミナー「SPODUCATION COACH Festa」を開催する。

7つのテーマをスポーツ育成に関わるコーチのために配信!

◆成長に欠かせないスポーツの役割
◆発育期のカラダの仕組み
◆パフォーマンスの出し方(メンタル)
◆スポーツ育成の在り方
◆心の教育
◆新しい時代に求められるコーチの役割
◆スポーツで培うセルフプロデュース力

元トップアスリート×スポーツ育成のスペシャリストが集結!

佐々木則夫さん(元サッカー日本女子代表監督)×二ノ丸友幸さん(プロラグビーコーチ/人材育成プロデューサー)

藤田憲右さん(お笑い芸人/トータルテンボス)×栗原正峰さん(書道家/いせさき教育アンバサダー)

廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表キャプテン)×荒木香織さん(園田学園女子大学教授/順天堂大学スポーツ健康科学部客員教授)

青木翔さん(プロゴルフコーチ)×星野明宏さん(静岡聖光学院中学校・高等学校校長)

佐藤寿人さん(元サッカー日本代表)×友添秀則さん(元早稲田大学教授)

広瀬統一さん(早稲田大学スポーツ科学学術院教授/サッカー女子日本代表フィジカルコーチ)×大槻邦雄さん(プロサッカーコーチ)×高橋和也さん(にしこくテニススクールマネージャー)

阿井英二郎さん(札幌国際大学教授)×川村卓さん(筑波大学体育系准教授)

無料で視聴できる『SPODUCATION COACH Festa』の詳細・申し込みはコチラ

日々様々なコンテンツを配信している『 SPODUCATION 』では、footballistaとのコラボ企画も実施している。今回はその中から今年6月に開催された、早稲田大学ア式蹴球部の外池大亮監督と1.FCケルンの下部組織でGKコーチを務めプロ選手を育て上げた田口哲雄JFAコーチが「世界と日本に共通する“U-23選手を育てる意義”」について語ったセミナーの一部をここで紹介。大卒選手の需要がさらなる高まりを見せている中、ポストユース世代育成の意義とは?

大学サッカーの成長

――日本の大学サッカーは欧州ではどのようにみられているのですか?

田口「欧州でも、日本サッカーの構造を知っているスカウトは大学サッカーに注目していますよ。大学選抜が欧州遠征に来た場合、クラブはスカウトを派遣しています。例えば長澤和輝選手(名古屋グランパス)が大学選抜でドイツに来たとき、1.FCケルンのスカウトがチェックして、その後契約に至ったというケースがあります」

――日本の大学サッカーのレベルは上がってきていると思いますか?

外池「そうですね。その背景は、まずサッカーという競技が社会的にも認められた存在になってきたことがあります。大学の中においてもサッカーを大学のブランディングとして捉え、それが評価に結びついてきている。多くの選手が高卒からJリーグで即戦力として活躍できない課題がある中、クラブが同じ地域にある大学と連携して、一緒に選手を育成するという動きも出てきています。クラブのユース出身選手が大学を経て4年後に獲得するというケースですね。東京五輪のメンバーに大卒選手が多数選出されましたが、彼らも大学時代に常に活躍していたわけではなく、苦しんだ時期もありました。大学サッカーという環境で磨かれ、彼らのような選手が巣立ったことが、今の大学サッカーのレベルの高さを証明していると思います」

――U-23年代は技術というより人間力など心の部分の育成を中心としている?

外池「僕自身もそこを大きく捉えています。すでに技術レベルの高い選手が多く大学サッカーには入ってきます。ただ、(高卒時に)同じようなタイプの選手が多い。その課題こそがまさに人間力。主張力、傾聴力など自分の想いを伝えたり、人の言うことを聞けたり、周囲と繋がれたり、そういった部分がとても弱い印象があります。大学サッカーでの成長はそこが大きなポイントだと思います」

――ドイツにおけるこの年代の育成の捉え方は?

田口「2014年に義務化はなくなったのですが、今でもU‐23のセカンドチームを持っているクラブは多く、この年代の重要性は持ち続けていると思います。ドイツにおいてもこの年代では“生業”としてのサッカーの意識がなかなか植えつかない。その心構えを養う準備段階として、U‐23の育成はドイツでも大事に捉えられています。自分はここで飯を食うんだという気概を持って、自ら道を切り開き、自分に何が必要かを考えられるようになるのが、このポストユースという世代。精神的に成熟する期間ということですね」

――日本もドイツもそこは変わらないのですね。それが日本では大学で確立されていると。

外池「確かに、大学サッカーはレベルも環境も近年で大きく変わりました。しかし、大学が学生と社会を混在させていくステージであるという捉え方は不変だと思います。早稲田大学ア式蹴球部は90人ほどいますが、サッカー選手として生きていくのは1割程度です。残りの9割は社会人として一般社会に出ていく。先ほど田口さんがおっしゃった『自ら道を切り開く』という思考は、専門性が高く同じ属性の人が集まった環境では育ちづらい。大学には混在があり、そこに学びを見つけることができれば、サッカー自体を探究できるし、人間としての軸、覚悟も生まれます」

セカンドキャリアとライフプラン

――ドイツのクラブでU‐23の人間力の育成として取り組んでいることは?

田口「U‐23のセカンドチームではプロとして贅沢をしなければ困らないくらいの給料が出ますから、数年やってプロとしてやっていくのかのお試し期間でもあるわけです。意識が高い子は通信教育で学ぶ子もいますし、クラブ側もそういった学びを推奨するように大学と提携しているクラブもあります。僕の教え子でも修士まで取って、大企業に就職した選手もいました。人生で何が必要かに向き合える時間であり、もちろん、この期間をどう捉えるかでその後の選択肢は大きく変わります」

――サッカー中心の中にもライフプランを考えている選手が多いと

外池「日本の大学でもそうですよね。僕の学生時代と比べるとセカンドキャリアの捉え方、意識は大きく変わっていると思います。大学は構造上サッカー部の位置づけもさまざまで、チームマネマネジメントの方針も異なります。いろんなチャレンジがあることでお互いに刺激し切磋琢磨することが、大学サッカーの強化に繋がり、進化になっているんだと思います。また、これまではサッカーをある程度までやったら引退するという線引きの意識がありましたが、今では生涯スポーツとしてサッカーとの本質的な関わり方を考える学生もいます。いろんな価値観を持った選手が同じチームにいることで、深い学びに繋げられる場になっていると思います」

U-23世代の日本のGK評は?

――欧州から見た日本のGKの評価は?

田口「よく欧州との比較で日本人GKの身長が取りざたされますが、実際はどうでしょうか。J1リーグのGKでは五輪世代が6人くらい試合に出ていて、180~190㎝くらいのサイズがあって、しかも動ける。日本のGKが身長の部分を言い訳にする時代はもう終わったのだと思います。ブンデスリーガでは五輪世代のU‐24の選手は極めて少数で、ほぼ中堅からベテランと呼ばれる年齢の選手で占められます。もちろん、Jリーグと欧州トップリーグのレベルの差はあるにせよ、日本には有望な若いGKが出てきているんです。僕の教え子のティモ・ホルンは19歳でデビューしてから1.FCケルンでレギュラーを張っていて、テア・シュテーゲンやケビン・トラップら30歳前後の世代はみんな20歳ぐらいでデビューして、ずっと上に居座っている(笑)。そうなると次が育ちづらくなるのがこのポジションなんですよね」

――ドイツは良いGKが輩出されるイメージがあります。

田口「そう言われてきましたが、実はU‐24ドイツ代表GKコーチも『GKがいなくて困っている』と嘆いていました。ブンデスリーガでは外国人のGKも増えているので、若い選手がチャンスをつかむ機会がなくなってきているんです。Jリーグで活躍している若い世代のGKが、川島永嗣選手のようにどんどん欧州リーグに出て行ってほしいですけどね」

思考の変化ができる選手が上に行く

――U‐23世代でプロになる選手のポイントは?

外池「発する言葉に変化が出てきた時に、それを感じます。相馬勇紀選手などは早大と名古屋グランパスで併行して試合をしている時期がありましたが、大学で結果を残さない限りプロには行かないと明言していました。大学サッカーを疎かにするようでは早大を応援してくれている人に失礼だと。言葉の変化は思考の変化だと思うのですが、そういった言葉を聞いた時に『これはプロでも通用するな』を思います」

――言葉の変化は思考の成長だと。

外池「同じものを見ていても違うように捉えられる。そして自分とより厳しく向き合える。現役の学生でも急変しますよ。例えば、4年生の試合を見て下級生が『先輩の奮闘に心を打たれ、初めてチームのために頑張ろうと思いました』と言ってきたりしますが、そういう選手は確実に伸びていきます。成長に言葉がついてくる。その下地を作るための環境作りも意識しているところですね」

――田口さんはいかがですか?

田口「GKとして安定したプレーを見せられるのは最低限として、試合を決定づけるパフォーマンスを見せられるかどうかですね。1試合で決定機を2、3本止められるGKとして計算できるかどうかは、プロでの判断材料になります。あとはプロになると環境が変わるので、ブレない芯があるのは絶対だと思います。本質を見失わないこと、客観視できること、そういうことができる選手は上に行きますね」

――U‐23の育成で一番大事にしていることは?

外池「主体的であることですね。僕はそれを責任とアイディアだと捉えていています。つまり、自分がその状況に対してどう責任を取れるか、そして自分の意見をどう作り出せるか。試合中の判断もそうですし、普段の生活の自己管理もそう。僕は指導者というよりファシリテーターとして裁量をできる限り学生に与えて、彼らがどう見極められるか、見定められるかを引き出していきたいと思っています」

田口「外池さんのお話と繋がる部分だと思いますが、指導者の仕事は梯子を支えてあげることであって、登るのは選手自身だと思います。指導は選択肢を提示し、選手個々に合った手助けをしてあげること。自分のやるべきことを見つけるのは選手ですから、そこを見定められる能力を成熟させてあげることが、この時期の指導で必要なことだと思います」

外池大亮(早稲田大学ア式蹴球部監督)

1975年生まれ、神奈川県出身。早稲田実業高校から早稲田大学に進学し、大学卒業後の97年にベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)に加入。プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた。平塚加入後は横浜F・マリノスなどでプレーし、07シーズン限りで現役を引退。引退後は、電通やスカパー!に勤務。18年にスカパー!に籍を置きながら、母校である早稲田大学のア式蹴球部監督に就任。就任初年度に2部から昇格して1年目のチームを率いて、大学サッカー最高峰となる関東リーグ1部優勝というタイトルを獲得。

田口哲雄(JFAコーチ)

1976年、埼玉県生まれ。2001年東京外国語大学卒業後、渡独。2006年から1.FCケルンの育成部門GKコーチとして働き始め、U−21チームのコーチングスタッフおよびU−15からU−21のGK育成を担当。現在はJFAコーチ GK担当を務める。

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