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ストライカーが「エゴイスト」であるべき理由。学術的アプローチで紐解く「本能」の正体

2020.05.25

日本人ストライカー改造計画#6】

「マルチタスク」×「タスク共有」の時代において、ストライカーは単なる11人の中の1人に過ぎなくなるのだろうか?「ピッチに立てば、ストライカーは善人であることを捨てなければならない」というマイケル・オーウェンの言葉にあるように、「点が入りにくい競技で点を取る」という特殊な役目を課されているストライカーは、エゴイストであるべきと言われてきた。今回は、学術的なアプローチからその定説が本当なのか検証してみよう。

 チームの勝敗を背負う存在として、ストライカーは古くから特別だった。イタリアのフットボールではストライカーは花形であり、セリエA全盛の時代には組織的な守備を一瞬で破壊するFWこそが求められた。常に相手の隙を狡猾に探し続けたフィリッポ・インザーギや、相手を弾き飛ばしながらゴールに突進する“重戦車”クリスティアン・ビエリ、ファンタジスタとストライカーの狭間に存在したフランチェスコ・トッティ、ブラジルが輩出したストライカーの中でも最上の輝きを放った“怪物”ロナウド……。今も記憶に新しいストライカーたちが競い合うフットボールは、鮮やかな色に満ちていた。

 揺らがないパーソナリティでチームを背負う男たちに憧れながら庭先でボールと戯れた少年たちは、今の時代にもストライカーの血脈を感じさせる。元スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチやポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドはその筆頭であり、年老いても自らの能力を疑わない。

今冬ミランに復帰したイブラヒモビッチ。38歳で帰還したセリエAの舞台でさっそく3ゴール1アシストを記録している

育成の整備がストライカー不在を生む?

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Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。