
ストライカーが「エゴイスト」であるべき理由。学術的アプローチで紐解く「本能」の正体
【日本人ストライカー改造計画#6】
「マルチタスク」×「タスク共有」の時代において、ストライカーは単なる11人の中の1人に過ぎなくなるのだろうか?「ピッチに立てば、ストライカーは善人であることを捨てなければならない」というマイケル・オーウェンの言葉にあるように、「点が入りにくい競技で点を取る」という特殊な役目を課されているストライカーは、エゴイストであるべきと言われてきた。今回は、学術的なアプローチからその定説が本当なのか検証してみよう。
チームの勝敗を背負う存在として、ストライカーは古くから特別だった。イタリアのフットボールではストライカーは花形であり、セリエA全盛の時代には組織的な守備を一瞬で破壊するFWこそが求められた。常に相手の隙を狡猾に探し続けたフィリッポ・インザーギや、相手を弾き飛ばしながらゴールに突進する“重戦車”クリスティアン・ビエリ、ファンタジスタとストライカーの狭間に存在したフランチェスコ・トッティ、ブラジルが輩出したストライカーの中でも最上の輝きを放った“怪物”ロナウド……。今も記憶に新しいストライカーたちが競い合うフットボールは、鮮やかな色に満ちていた。
揺らがないパーソナリティでチームを背負う男たちに憧れながら庭先でボールと戯れた少年たちは、今の時代にもストライカーの血脈を感じさせる。元スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチやポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドはその筆頭であり、年老いても自らの能力を疑わない。

育成の整備がストライカー不在を生む?
……
残り:3,435文字/全文:4,141文字
この記事の続きはプレミア会員
のみお読みいただけます
プレミア会員3つの特典
-
会員限定のオリジナル
記事が読み放題! -
電子版バックナンバーが
読み放題! -
雑誌最新号を毎月
ご自宅にお届け
- 【ルポルタージュ】前編:ワールドクラスの日本人FWはいた。本人に直撃!久保竜彦のルーツに迫る
- 【ルポルタージュ】後編:久保竜彦は「ストライカー」ではなかった。“未来の才能”に伝えたい魂のメッセージ
- 【インタビュー】マルコ・ズニーノ:カルチョのNo.1スカウトに聞くストライカー進化論
- 【図解】モダンFWの2つのニュータイプ。 ポストプレーヤーは、なぜ消えたのか?
- モダンFWは「ニア」を捨てるべき! クロスに対するポジショニングの新常識
-
ストライカーが「エゴイスト」であるべき理由。学術的アプローチで紐解く「本能」の正体
- ストライカーに必要な「根拠のある自信=自己効力感」を高める方法とは?
- 【対談】完全版:中西哲生×林舞輝「決まるシュート」の方程式
- 【インタビュー】前編:「蹴慣」「3つの動き」「母指球シュート」 ストライカー専門コーチ・長谷川太郎の奥義伝授!
- 【インタビュー】後編:「足の幅」で成長期のケガを予防できる。 ストライカー専門コーチ・長谷川太郎からのお願い

Profile
結城 康平
1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。