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フォーメーション分析:攻撃編#2[その他]

2020.05.15

特集: 今、あらためて 「フォーメーション」を考える#10

静的な“フォーメーション”が意味をなさなくなっている現代サッカーにおいて、フォーメーションというものをどう理解すべきなのか。現状を踏まえて攻撃と守備、それぞれの局面における具体的なフォーメーションについて、その特徴と機能性を分析していきたい。

最終回となる攻撃編その2では「密集型」や「カウンター型」といった、静的な配置の意味が希薄な攻撃の型について解説する。

 現代サッカーにおけるフォーメーション論を再考するこの企画も、今回で最終回になる。今回の記事では、前回紹介できなかった攻撃の残り2つの考え方を中心に解説する。また最後には、これまでの特集を踏まえ、私なりに現代サッカーにおけるフォーメーションについてまとめさせていただければと思う。

密集型

 前回の記事で、攻撃とは壁(=相手の守備のメタファー)を壊すようなものだと表現した。壁を壊すための条件は、壁の強度を超える力で壁を叩くことだ。壁の素材や自分たちの武器の性能が同じもの(=試合中に相手や自分たちの戦力は大きく変わらない)という仮定の下で、壁の強度よりも強い力で攻撃するためには、1.相手の壁の強度を下げること、2.自分たちの攻撃力を上げること、という2つの方法しかない。

 しかし、サッカーという互いの人数が11人と決まっている条件のゲームにおいては、相手の人数を減らして壁の強度を下げたり、自分たちの人数を増やして攻撃力を上げたりすることはできない。そこで、サッカーのピッチが11人で守り切るには広過ぎるという特徴を使おうと考えたのが、前回説明した5トップ型である。ピッチを広く使うことによって、相手の守備の密度を下げることで壁を「薄くする」ようなイメージだ。

 一方で、相手の壁の強度を変えずとも、自分たちのリソースを狭い箇所に集中することで、自分たちの攻撃力を最大化するという考え方もできる。これが今回の記事でまずフォーカスする「密集型」のアイディアである。......

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今、あらためて 「フォーメーション」を考える

Profile

山口 遼

1995年11月23日、茨城県つくば市出身。東京大学工学部化学システム工学科中退。鹿島アントラーズつくばJY、鹿島アントラーズユースを経て、東京大学ア式蹴球部へ。2020年シーズンから同部監督および東京ユナイテッドFCコーチを兼任。twitter: @ryo14afd