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「結果を出し続けていたら、自然にそうなった」。福山シティFC・藤本憲明がJFLからJ1へ駆け上がった「個人昇格」のキャリア論

2026.09.21

【特集】 世界は「日常」になった――。変化する日本人選手のキャリアパス#2

2023年のU-17W杯ラウンド16、スペイン戦のスターティングイレブンのうち、4人がすでに海外でプレーしていることをご存知だろうか?佐藤龍之介はFC東京を経てスペイン1部のバレンシアへ、名和田我空はガンバ大阪からベルギー1部のシャルルロワへ。小杉啓太は湘南ベルマーレU-18から直接スウェーデン1部のユールゴーデンに渡り、ドイツ1部のフランクフルトへ飛躍した。吉永夢希も高卒でベルギー1部のゲンクに加入している。もはや珍しいものではなくなりつつある、早期のプロ契約や海外挑戦。日本人選手のキャリアパスが大きく変わり始めている今、これからどのようにその将来を設計していくべきなのか。そして、そこにどう関わるべきか。選手、クラブ、市場、それぞれの視点から、変化の現在地を考えてみたい。

第2、3回は、JFLからJ1に辿り着いた藤本憲明のインタビュー。JFLの佐川印刷SCでアマチュア選手としてキャリアを始めたストライカーは、鹿児島ユナイテッドFCでJリーガーとなり、大分トリニータでJ1昇格を経験。2019年にはヴィッセル神戸へ移籍し、翌年の天皇杯ではクラブ初タイトルにも貢献した。会社員として働きながらボールを追っていた男は、8年をかけて日本サッカーの頂点へとたどり着いた。

「野心とかじゃなかった。そのときどきでいる場所で結果を出し続けてたら、自然に声がかかって上のカテゴリーに導かれた」。藤本が歩んできたのは、明確なキャリアプランを描いて上を目指すのとは少し違う道だった。JFL、J3、J2、J1。それぞれの場所で生き残るために積み重ねた日々が、次の扉を開いていった。

全治1年。でも、明るく前向きに

 2026年8月16日、藤本憲明が大きなアクシデントに見舞われた。トレーニングマッチ中の右膝の負傷は、前十字靱帯、内側側副靱帯、および半月板の損傷で、全治約1年と診断される。3日後には37歳の誕生日を迎え、さらにその3日後に神戸市内の病院で一度目の手術。8月24日に所属クラブの福山シティFCから負傷の情報が発表されると、全国のサッカーファンの間に動揺が広がった。

 現在は国内5部にあたる地域リーグでプレーしている藤本は、大卒15年目のストライカーだ。JFLからJ1まで、幅広いカテゴリーのクラブで実績を残してきた。ゴール前でのクレバーな立ち回りやフィニッシュワークの鮮やかさ、それに加えてピッチ内外やSNS上で見せる立ち振る舞いのキャッチーさで、所属するチームのみならず対戦相手のサポーター、ひいては国内サッカーファンからも、広くその存在を知られ、愛されている。

 浮沈の激しいこの世界で、これまでも人生における「我慢の時間帯」を何度もくぐり抜けてきたはずだが、さすがに37歳でのこの大ケガは、選手生命に関わるダメージとなるのではないか。だが、周囲のそんな心配を吹き飛ばすように、藤本は負傷発表のリリースを受け、自身のSNSにこう綴った。

 「かかってこい1年リハビリ

 昇格は最高の選手スタッフたちに任せて、その為にできる事を全力尽くします

 来シーズンのJFL開幕戦出場を目標にして37歳、あ間違えた27歳頑張っていきます

 福山シティFCの応援よろしくお願いします

 すべての人たちに生きる勇気と明日への活力を」

 いつもながらのおふざけを交えたポジティブなコメントは瞬く間に拡散され、メディアに取り上げられた。地域リーグに所属する選手がこれほど話題になるケースは珍しい。それだけ多くの人々の関心を集める存在なのだということが、自ずと浮き彫りになった。

「会社員だった頃とは違って、1試合1試合で結果を出さなきゃいけない」――JFLからJリーガーへ

 なによりもそのキャリアの変遷が、周囲に夢を与えてきた。行く先々のチームで活躍が認められて個人昇格を繰り返し、カテゴリーを右肩上がりに駆け上がった勢いは、他に類を見ない。

 ガンバ大阪堺ジュニアユースから青森山田高校に進み近畿大学を経て、2012年に当時JFLの佐川印刷SCで、アマチュア契約でキャリアをスタート。ステージ優勝に貢献するなど存在感を示していたが、会社の事情により、チームは2015年限りで活動を凍結することになる。

 それを受けて翌年は、J3・鹿児島ユナイテッドFCに移籍。これまでのアマチュアプレーヤーから、プロフェッショナルであるJリーガーへと転職することになった。藤本は当時の決断を振り返る。

……

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Profile

ひぐらしひなつ

大分県中津市生まれの大分を拠点とするサッカーライター。大分トリニータ公式コンテンツ「トリテン」などに執筆、エルゴラッソ大分担当。著書『大分から世界へ 大分トリニータユースの挑戦』『サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと』『監督の異常な愛情-または私は如何にしてこの稼業を・愛する・ようになったか』『救世主監督 片野坂知宏』『カタノサッカー・クロニクル』。最新刊は2023年3月『サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち-』。 note:https://note.com/windegg

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