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本人交代後も機能した「ビティーニャ・システム」。ポルトガルが証明する“人が戦術になる”強さ

2026.07.04

【特集】北中米W杯深掘り分析スペシャルレビュー#5

4年に1度のW杯は、後世に語り継がれる名勝負の宝庫だ。しかし高度化した現代サッカーの裏側には、徹底した分析と綿密なシミュレーションに基づく極限の戦術的駆け引きが存在する。footballista編集部が選んだ識者たちが、注目国同士による「本気の闘い」を深掘りレビュー。あの90分で何が起きていたのか。勝敗を分けた戦術の妙に迫る。

第5回は、ポルトガル対クロアチア。テクニックとフィジカルが激突した好ゲームを分析する。レオン先発がもたらした攻撃の変化、後半に主導権を握ったクロアチアの修正、そして本人交代後も維持された”ビティーニャ・システム”。ポルトガルが示した“人が戦術になる”強さとは何なのか。

レオン起用で変えた前進ルート

 ラウンド32でやるには「もったいない」カード。ポルトガルはガーナ戦のジョアン・フェリックスをレオンに代え、クロアチアはグバルディオルが先発から外れている。

 ポルトガルはクロアチアの4バックに対してレオン、ロナウド、ネトの3人がDF3人をマークし、残る1人を後方からの前進守備で同数プレスに移行する構え。

 一方、クロアチアはビティーニャを1トップのブディミルがマーク。ポルトガルのCB2人がフリーになっても気にしない。とにかくビティーニャにビルドアップさせないことを優先したようだ。しかし、ビティーニャはマンマークを苦にすることもなく、いつも通り組み立ての軸となる。

 ポルトガルが保持する流れから、4分にさっそく快足を飛ばして裏へ抜けたレオンのクロスボールをブルーノ・フェルナンデスがシュート。続いてレオン、ネトからロナウド目がけたハイクロスを蹴るが微妙に合わず。

 J.フェリックスを外してレオンを起用した効果は出ていた。

 ビティーニャがいるのでビルドアップの初動は問題ない。ただ、守備時にトップ下のB.フェルナンデスが中盤深くまで戻るので後方から前方への接続点がなく、コロンビア戦では左サイドMFのJ.フェリックスがその役割だった。ただ、間受けは上手いしボックスまで入っていけるのは良いが、ポジショニングが自由なだけに守備への切り替えが遅れ、コロンビアの右SBが上がった時にマークできていなかった。それで多くのチャンスを作られていた。

 J.フェリックスがいないと攻撃ルートは外側からしかなくなるが、レオンとネトからロナウドを狙ったクロスボールで序盤にチャンスを作り、ビティーニャもいつもより前方へ進出。ブディミルはビルドアップ初動でビティーニャを徹底マークしていたが、そこからクロアチア陣内の入った場合は受け渡していた。

 ポルトガルはクロスボールに対してロナウド、B.フェルナンデスの他に左SBヌーノ・メンデスもボックスに入ってきていて人数は十分。ピッタリ合えば得点できそうな気配は漂わせていた。

本人が消えても消えなかった「ビティーニャ・システム」

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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