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【バルディ分析(前編)】「組織力は世界トップクラス」ブラジル戦前半で示した非保持時のプレス強度とトランジションの質

2026.07.02

北中米W杯日本戦徹底解剖#8

北中米W杯へ向けて進化を続ける森保ジャパン。その戦いを『森保JAPAN戦術レポート』(小社刊)の著者・らいかーると氏と、ボローニャやミラン、イタリア代表などで分析官兼コーチを歴任し、FIGC(イタリアサッカー連盟)ではアナリスト講座の講師も務めるレナート・バルディが徹底解剖。配置、狙い、駆け引き――日本代表戦に潜む戦術の深層を、それぞれの視点から読み解く。

第8&9回は、北中米W杯ラウンド32のブラジル戦を徹底分析。前半は組織的な守備でブラジルを苦しめ、先制点も奪った日本。しかし、その優位性を最後まで維持することはできなかった。バルディは、日本が世界トップレベルに到達した戦術的完成度を高く評価する一方で、「もっとできたはずだった」と語る。その真意とは……?

日本が世界に示したポジティブなメッセージ

――前半はブラジルとほぼ互角に渡り合っただけでなく1-0でリードして折り返しましたが、後半相手が戦い方を変えてきたのに対応できず、一方的に押し込まれる展開になって同点に追いつかれ、最後はアディショナルタイムに失点して逆転負け。結果的には力の差を見せつけられる形での敗退となりました。個人的には、特に前半1-0にした後、後半のハイドレーションブレイクの後には、別の戦い方があったように思います。ある時点から受動的な振る舞いに終始したのは残念でした。

 「確かにそういう側面はあったかもしれません。それでも日本は、胸を張ってW杯を去ることができたと思います。非常に高いレベルで組織された現代的なチームとしてのパフォーマンスを通して、日本のサッカーが成長を続けていることを世界に示した。正直に言って、個のレベルで違いを作り出せるレベルの傑出したスターは擁していません。試合のある局面で、普通ではないことをやってのける選手がいない。その点で限界があったことは確かです。それでも、チームとしての完成度、組織的なクオリティという点では、おそらく出場全チームの中で最も進んでいた中の1つだと思います」

――その点で最も強力な武器である三笘を欠いていたことに加えて、久保も初戦のケガで事実上離脱してしまったことが残念でした。

 「初戦のパフォーマンスは決して良くはありませんでしたが、ケガがなければ本来のクオリティを発揮する機会もあったはずです。それを失ったことは日本にとって小さくない損失だったと思います」

森保監督の先発選択は「理にかなっていた」

――日本は中3日での4試合目でしたが、メンバー選択で一番の焦点だった右ウイングバックには菅原ではなく堂安が起用されました。

 「前回も話した通り、ここに菅原を起用すれば、後ろ向きのメッセージをチームに与えることになったでしょう。その観点からも、右ウイングバックに堂安、右シャドーに伊東純也というチュニジア戦と同じ組み合わせは、筋の通った選択だったと思います。最終ラインも、板倉がケガで使えませんでしたが、冨安、谷口、伊藤は、ビルドアップのクオリティという観点からも最良の選択だと思います。

……

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Profile

片野 道郎

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。

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