不動の前線をカイセドの相棒、神出鬼没の右SBらが支える[4-2-4]で選出!北中米W杯GSベストイレブン
【特集】北中米W杯深掘り分析スペシャルレビュー#4
4年に1度のW杯は、後世に語り継がれる名勝負の宝庫だ。しかし高度化した現代サッカーの裏側には、徹底した分析と綿密なシミュレーションに基づく極限の戦術的駆け引きが存在する。footballista編集部が選んだ識者たちが、注目国同士による「本気の闘い」を深掘りレビュー。あの90分で何が起きていたのか。勝敗を分けた戦術の妙に迫る。
第4回では箸休めとして、北中米大会グループステージのベストイレブンを選出。全試合視聴中のフットボールコラムニスト、安洋一郎氏が計72戦でのパフォーマンスをふるいにかけて、決勝ラウンドでも要注目の役者たちを[4-2-4]で並べていく。
GK
ボジーニャ(カーボベルデ代表)
3試合2失点
今大会最大級の台風の目となったのが、初出場のカーボベルデ代表だ。
3試合で3分とW杯初勝利こそ達成できていないが、スペイン、ウルグアイ、サウジアラビアと同組のグループHを2位で通過。キュラソー代表に次いで出場48カ国中2番目に国土が小さい島国が、奇跡のラウンド32進出を果たした。
その立役者となったのが、40歳の守護神ボジーニャだ。今大会開幕前までは、ほぼ無名の存在だったが、W杯での活躍をきっかけに一躍世界的な注目を集める選手となっている。Instagramのフォロワーは、開幕前の約5万人から、約1730万人以上へと急増している。
グループステージ3戦のうち、初戦のスペイン戦とサウジアラビア戦でクリーンシートを達成。40歳以上でW杯複数試合の無失点を記録した選手は、元イングランド代表GKピーター・シルトン、元イタリア代表GKディノ・ゾフに次ぐ史上3人目となった。
特にスペイン戦でのパフォーマンスは圧巻だった。EURO2024王者を相手に、チームは相手の揺さぶりにも簡単には動じないコンパクトな守備ブロックを構築。
27本ものシュートを浴び、フェラン・トーレスやミケル・オヤルサバルらの枠内シュートも次々と襲いかかったが、ボジーニャは7セーブを記録し、スコアレスドローへと導いた。
グループリーグ3試合でカーボベルデ代表は一度も勝利を挙げることはできなかったが、一度も敗れることもなかった。その躍進を支えたのが、最後尾に君臨する守護神ボジーニャである。
カーボベルデ代表がこれまで出場したすべての主要国際大会を経験してきたベテランは、その豊富な経験と圧倒的な存在感でチームを悲願のラウンド32進出へと導いた。
DF
ダニエル・ムニョス(コロンビア代表)
3試合2ゴール0アシスト
2大会ぶりにW杯出場を果たしたコロンビア代表。司令塔ハメス・ロドリゲスを中心に、感情を全面に押し出した情熱的なフットボールで大会を魅了している。
そのアグレッシブなチームスタイルを象徴する選手が、右SBのダニエル・ムニョスだ。彼ほど逆サイドからのクロスに飛び込む「質」と「量」を兼ね備えた選手はいないだろう。
所属するクリスタル・パレスでは[3-4-2-1]の右ウイングバックを務め、プレミアリーグでは2シーズン連続で4ゴールを記録。クラブで磨かれたペナルティエリア内での得点力は、4バックの右SBで起用されているW杯の大舞台でも存分に発揮されている。
初戦のウズベキスタン戦では、左ウイングのルイス・ディアスからのゴールへ向かう鋭いクロスを右足アウトサイドでダイレクトに合わせる技ありの一撃で先制点を奪取。第2戦では、キックオフ直後に左SBホアン・モヒカの鋭いクロスに頭で合わせ、そのこぼれ球を押し込んだが、これはオフサイドの判定となった。
それでも後半、右の大外でフリーになった場面から一気にボックス内へ走り込むと、逆足の左足でニアを射抜くSBらしからぬフィニッシュを披露。2試合連続となる先制弾を決め、攻撃性能の高さをあらためて証明した。
自陣ボックス内で相手FWをマークしていたかと思えば、数秒後には敵陣のボックス内に顔を出す。その「神出鬼没」とも言える動きは相手にとって予測が難しく、コロンビア代表の試合を見る際は、背番号2のポジショニングに注目すると、よりゲームを楽しめるはずだ。
パウ・クバルシ(スペイン代表)
3試合0ゴール0アシスト
19歳のスペイン代表DFパウ・クバルシが、自身初のW杯で堂々たるパフォーマンスを披露している。
グループリーグ3試合で無失点を達成したのは、共催国メキシコ代表とスペイン代表の2チームのみ。“ラ・ロハ”の守備の要である若武者は、攻守両面で圧巻の働きを見せている。
スペイン代表はグループリーグ3試合で、48チーム最少となる15本の被シュート数に抑えた。さらにペナルティエリア内で打たれたシュートはわずか4本と、決定的なピンチをほとんど迎えていない。
もちろん、これは同組のカーボベルデ、サウジアラビア、ウルグアイとの力関係も影響している。しかし、相手にカウンターの機会がなかったわけではない。その多くの場面でクバルシが決定的なパスをインターセプトし、優れた読みを生かしたカバーリングでピンチの芽を摘んできた。
データサイト『Opta Analyst』によると、クバルシは3試合で16回のボール奪取を記録。この数字を上回るCBは今大会でわずか3人しかいない。
相手のカウンターの芽を着実に摘むだけでなく、最終ラインからの配球センスも際立っている。
全体3位となる289本のパスを成功させ、パス成功率は98.3%を記録。それも近距離でのパス交換だけでなく、相手の守備ブロックの間を通す縦パスや対角線へのフィードなど、中・長距離のボールも織り交ぜながら叩き出した数字だ。
そのプレースタイルは、まさに“最後尾の司令塔”。クバルシのパスを起点に攻撃のスイッチが入る場面も多く、2度目の優勝を目指すスペイン代表には不可欠な存在だ。
マーク・グエイ(イングランド代表)
3試合0ゴール0アシスト
マーク・グエイは、初戦のクロアチア戦で自身をスタメンから外したイングランド代表の決断が間違いだったことを、自らのパフォーマンスで証明している。
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Profile
安 洋一郎
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。中学生の頃よりアストン・ヴィラを応援しており、クラブ公式サポーターズクラブ『AVFC Japan』を複数名で運営。プレミアリーグからEFLまでイングランドのフットボールを幅広く追っている。
