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「岡山と一緒にチャレンジしたい」3年ぶりにJリーグに復帰した江坂任がJ1初挑戦のファジアーノで楽しみにしていること

2025.02.20

【特集】ファジアーノ岡山、 市民クラブがJ1に見る夢#6

2025シーズン、クラブ創設以降初めてJ1を舞台に戦うファジアーノ岡山。1つの大きな夢を叶えた市民クラブは、その先に何を見るのか? 森井悠社長は「岡山のスポーツ業界の中では確かな成長を遂げつつある。(売上)100億円をいろんな形で目指すこと自体は不可能ではない」と壮大な青写真を描いている。悲願の実現に至る過程、そしてその未来にある景色に思いを巡らせてみたい。

今シーズンのファジアーノにおける最注目の補強が、日本代表にも選出された実績を誇る江坂任であることは間違いない。韓国から3年ぶりにJリーグへと復帰した万能型アタッカーは、J1初挑戦のチームへ何をもたらしてくれるのだろうか。本人の言葉から難波拓未がその期待と可能性を探る。

(取材日:1月31日)

韓国王者で過ごす1年間がもたらした成長と収穫

──2022年12月に浦和レッズから韓国の蔚山HD FCに加入しました。どういう決断だったのでしょうか?

 「もともと海外でプレーしてみたかった気持ちがありましたし、韓国のチャンピオンチームからオファーという形で評価してもらったことが素直にうれしかったです。年齢的にも『ここしかない』というタイミングだったので、チャレンジしました」

──環境や文化、サッカー面でも日本との違いは感じていましたか?

 「環境面は、日本の方が明らかに良い環境でサッカーができると感じました。コミュニケーションの部分は日本だと何不自由なくできますが、韓国ではチームメイトやスタッフなどと密にコミュニケーションを取ることは難しかったです。そういうところは自分もいろいろと試行錯誤しながら成長できた部分かなと思います。

 JリーグとKリーグの違いで言うと、やっぱりみなさんが想像しているように(Kリーグの方が)フィジカル的でした。ロングボールが多いサッカーではあるので、日本とはその辺が少し違うかなと思います」

──フィジカル的なサッカーにアジャストするために、最も成長したと感じるところはどういうところですか?

 「ボールが自分の頭上を越えていくことが多い中でも、自分にボールが入った時にはクオリティーの高いプレーを出せるようにしなければならず、かつその中でファイトしないといけない部分がありました。少ないチャンスで結果を残すことや球際で戦う部分は、韓国で成長できたと感じています」

──韓国では連覇に貢献し、ACLでJリーグのチームと対戦しました。

 「蔚山は勝つのが当たり前のようなチームだったので、しっかりと結果を残さないと試合には出ることができない状況でした。シーズンを通して競争や成長をしながら、良いシーズンを過ごせたかなと思います」

2023-24シーズンのACLでは、グループステージで川崎フロンターレ、16強でヴァンフォーレ甲府(写真)、準決勝で横浜F・マリノスと再会した江坂。蔚山時代は通算で72試合10ゴール9アシストの個人成績を残している

2022年以来の日本復帰。J1初挑戦のチームで戦う期待と担うべき責任

──ファジアーノ岡山に加入し、3年ぶりに日本に復帰しました。……

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Profile

難波 拓未

2000年4月14日生まれ。岡山県岡山市出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生からサッカーメディアの仕事を志すなか、大学在学中の2022年にファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブのマッチデープログラムを担当し、サッカーのこだわりを1mm単位で掘り下げるメディア「イチミリ」の運営と編集を務める。(株)ウニベルサーレ所属。

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