
「毎試合が生き残っていくための勝負」木山隆之監督が考えるJ1初挑戦のシーズンを戦うファジアーノ岡山の生存戦略(インタビュー後編)
【特集】ファジアーノ岡山、 市民クラブがJ1に見る夢#4
2025シーズン、クラブ創設以降初めてJ1を舞台に戦うファジアーノ岡山。1つの大きな夢を叶えた市民クラブは、その先に何を見るのか? 森井悠社長は「岡山のスポーツ業界の中では確かな成長を遂げつつある。(売上)100億円をいろんな形で目指すこと自体は不可能ではない」と壮大な青写真を描いている。悲願の実現に至る過程、そしてその未来にある景色に思いを巡らせてみたい。
そんなファジアーノを悲願のトップディビジョンへと導いたのは、今季で就任4年目を迎える木山隆之監督。昨年に続いて「最強のチャレンジャー」という立ち位置から、J1での躍進を期す指揮官に気鋭のライター・難波拓未が迫るインタビューを前後編に分けてお届け。後編は新シーズンへ臨むに当たっての心境から、ファジアーノというチームの在り方にまで話は広がった。
(取材日:1月27日)
1番下からのスタート。貫きたいのは自分たちのスタイルを出すための勇気
──今シーズンのテーマは昨シーズンに使用していた「最強のチャレンジャー」に近いものになりますか?
「公式戦が始まっていないので、そういう言葉を選手たちにはまだ伝えていないけれど、基本的に自分たちは1番下からのスタートになることは変わらないと思います。どれだけのチームを追い抜けるかが大事だと思っているので、そうやってチャレンジしていく姿勢や粘り強く戦っていく姿勢は絶対に持たないといけません。チームで団結して戦い抜いていくことが絶対に必要だと感じているので、スタンスとしては昨シーズンと同じようなものを持ち、より高いレベルでもしっかりと戦っていけるようにしたいです」
──ファジアーノが試合を優位に進め、良い結果を得るためには、「相手コートでプレーすること」が今シーズンも大事になると思います。J1はJ2と比べて、相手コートにボールがある状況を主体的に作ることが難しくなるかもしれません。どういうふうにやっていきたいと考えていますか?
「基本的にはスキルなどのいろいろな面でわれわれを上回っているチームが多いと思うので、われわれが守備からスタートしていくことになるのは十分に考えられることだと思います。それをいかに高い位置でやるか。一度下がったら簡単には押し戻せないと思うので、勇気を持って高い位置で攻守を展開していく。まずはその心積もりというか、そういうメンタリティーで臨んでいくことが大事かなと思います」
──J1では対戦相手に1人で試合を決められる選手がいる中で、そういう選手と対峙する時はディフェンスラインを上げ、全体をコンパクトにして高い位置で攻守を展開するのは勇気が必要なことだと思います。宮崎キャンプではJ1の鹿島アントラーズと対戦しましたが、その辺りの感触はどうですか?……

Profile
難波 拓未
2000年4月14日生まれ。岡山県岡山市出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生からサッカーメディアの仕事を志すなか、大学在学中の2022年にファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブのマッチデープログラムを担当し、サッカーのこだわりを1mm単位で掘り下げるメディア「イチミリ」の運営と編集を務める。(株)ウニベルサーレ所属。