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徳島ヴォルティス、復活への3つのポイント。ブラジル人トリオ、「ハイ」「ミドル」「ロー」の守備、スタートダッシュ

2025.02.08

2025注目Jクラブキャンプレポート#7
徳島ヴォルティス

新体制発表会、新チーム始動、そしてキャンプと各Jクラブが2025シーズン開幕に向けた準備を進めている。1年間を駆け抜ける体の土台、戦術の基礎を築く集中期間だが、その実態はなかなか見えてこない。そこで密着取材している番記者たちに昨季の課題を踏まえた取り組み、今季のサッカースタイルや新加入選手の現状など、注目クラブの最新情報をレポートしてもらおう。

第7回は、増田功作監督の下で昨季後半巻き返しに成功した徳島ヴォルティス。近年はスタートダッシュに失敗して低迷が続いたが、同じ轍は踏まない準備を着々と進めている。キャンプから見えた復活への3つのポイントを考えてみたい。

 昨季途中に就任した増田功作監督と契約を更新。昨季の締め括りを4連勝含む5戦無敗でフィニッシュした好感触を持って徳島ヴォルティスの2025シーズンがスタートした。

 編成面で核となる選手の多くは契約更新に結びついたが、今後の中心になってもらいたい世代の森昂大(現・アルビレックス新潟)、渡井理己(現・柏レイソル)、ブラウンノア賢信(現・ファジアーノ岡山)の3選手が個人昇格する格好で移籍。そこは具体的な補強が必要なポイントとなった。

増田監督(Photo: ©T.VORTIS)

ベールを脱いだ新加入のブラジル人トリオ

 新加入で獲得したのは10名。世間の目をわかりやすく惹いたのはルーカス・バルセロス、ジョアン・ヴィクトル、トニー・アンデルソンのブラジル人トリオ。

 キャンプを通して印象に残ったのがルーカス・バルセロス。

 チームとして細部の調整は必要だとしても、個の能力や得点力は相応に証明された。直近まで所属していたKリーグ1の情報を参考にするとスピードが武器のサイドアタッカーとして調整が進むのではないかと想像していたが、プレシーズンは1トップのポジション争いをするFWの1人だった。バルセロス自身は「スピードが特徴」と公言しているが、単純なスピードよりもボール保持者がパスを出すタイミングに合わせる動きが印象に残った。パスを供給する側の児玉駿斗は「抜け出し方やタイミングがうまい。賢いんじゃないかな」と言う。

 キャンプの日々を重ねながらバルセロスは少しずつ目標を上方修正した。加入間もない頃に目標を尋ねられると具体的な数字に言及することはなかったが、キャンプ終盤になると「二桁得点」「15得点」(バルセロス)と言葉は少しずつ軽やかになった。単なるリップサービスかもしれないが、キャンプ中に目標が上方修正されたことはポジティブな要素として素直に受け止めておこう。

バルセロス(Photo: Satoshi Kashihara)

 ジョアン・ヴィクトルは一次キャンプ初期と二次キャンプ終盤で印象が大きく変わった。……

Profile

柏原 敏

徳島県松茂町出身。徳島ヴォルティスの記者。表現関係全般が好きなおじさん。発想のバックグラウンドは映画とお笑い。座右の銘は「正しいことをしたければ偉くなれ」(和久平八郎/踊る大捜査線)。プライベートでは『白飯をタレでよごす会』の会長を務め、タレ的なものを纏った料理を白飯にバウンドさせて完成する美と美味を語り合う有意義な暇を楽しんでいる。