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「いつか孝汰さんとの2トップでチームを救いたい」レノファの生え抜き・末永透瑛が目指す景色

2024.07.08

【特集】ポストユースの壁に挑むルーキーたち#1
末永透瑛(レノファ山口FC)

高卒Jリーガーが試合経験を積む場がない――「ポストユース問題」が深刻化している。J1で出番を得ることは容易ではなく、J2、J3にレンタルしても必ずしもうまくいかない。近年、ルーキーイヤーからJ1で活躍しているのは松木玖生(FC東京)や荒木遼太郎(当時鹿島)が目立つくらいだ。有力選手の大学進学や欧州移籍が加速しているのも、この問題と無関係ではない。彼らはプロでどんな壁に直面し、それを乗り越えようとしているのか。ユース年代を卒業したプロ1年目のルーキーたちの挑戦に光を当ててみたい。

第1回はU-12からのレノファの生え抜き・末永透瑛だ。「大学進学は考えてなかった」という18歳は、2学年上の地元の先輩の背中を追いかけ、日々上を目指し続けている。

 今季の10代のルーキーと聞いて、誰が思い起こされるだろうか。

 J1では、高校選手権で活躍した安齋悠人(京都)が開幕節でゴールを挙げて話題となり、同じく選手権組の原康介なども得点を挙げて出場機会を得ている。J2であれば、清水ユース在籍中の西原源樹(清水)や年代別代表の常連である神代慶人(熊本)の名前が上がるだろうか。

 とはいえ、彼らは特例中の特例であり、出場機会を得られていない10代の方がはるかに多い。その陰でひっそりと、だが着実に数字を伸ばし続けている若者がいる。レノファ山口FCのルーキー、純山口産の末永透瑛だ。

地元の先輩、河野孝汰の背中を追いかけて

 山口県山口市、県庁や市役所にほど近い白石地区の出身。レノファ下部組織の前身であるレオーネ山口のスクールに入り、そのままU-12、U-15、U-18とレノファで育ってきた。2022年のクラブユース選手権では2年生ながら主力として活躍しグループステージ突破に貢献。ベスト16で鳥栖U-18に敗れたが、福井大智ら錚々たるメンバーをそろえた鳥栖相手に奮闘した。

 ユース時代は2トップの一角、トップ下、両ワイドなど、前線のポジションを幅広く務め、昨年8月という早い段階でトップ昇格が決定。そして今年3月のルヴァンカップ1回戦、松本山雅戦でデビューを飾るや否やプロ初ゴールをマークした。こうして順調な滑り出しを見せた末永だったが、まだ10代の若者。デビューまでにかなりの苦労もあったという。

 「キャンプの最初の練習試合でいわきFCさんとやらせてもらった時に、本当に何もできませんでした。ボールもすぐに奪われるし、自分自身にとって今までにないコンディションの悪さと言うか、何もできなかった試合でした。高校の時に(トップチームに)練習参加した時も、やっぱりプレースピードの面で苦労した部分がありました」……

Profile

ジェイ

1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。