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「食事を見ると、活躍ぶりに納得」。横浜FCがハイパフォーマンス・サポートプロジェクト室を設置した理由とその成果

2024.04.10

【特集】過密日程と強度向上による生存競争。ケガとともに生きる #14

サッカーにケガは付き物。“ともに生きる”術を磨いてきたサッカー界は、近年の過密日程やプレーの強度向上という変化の中で、ケガとどう向き合っているのか。予防や治療を通じて選手たちを心身両面でケアする様々な専門家の取り組みをはじめ、「サッカーとケガ」の最新事情を追う

近年、分析等とともにサッカー界で大きく関心が高まっている分野としてコンディショニングが挙げられる。国内外を問わず多くのクラブが取り組みを強化する中、Jリーグの中でこの分野に最も力を入れているクラブの一つが横浜FCだ。2022年にハイパフォーマンス・サポートプロジェクト室を立ち上げたクラブの狙いと実際の活動、そしてその成果について、栄養戦略室で活動しているONODERA GROUP株式会社LEOCの西川綾氏に話を聞かせてもらった。

――本日はお時間いただきありがとうございます。最初に、ハイパフォーマンス・サポートプロジェクト室設置の経緯・目的について教えてください。

 「チーム統括本部における戦略的強化を目的とし、トップチーム選手に対する栄養分野での教育、パーソナルの栄養サポートを行い、ピッチ外においても選手のコンディション向上に繋がるサポートを行うためです」

――そんなハイパフォーマンス・サポートプロジェクト室の栄養戦略室に西川さんが就任することとなった経緯はどのようなものだったのでしょうか?

 「私が勤めている株式会社LEOCでは、以前から横浜FCへの食事提供とスポーツ栄養情報の提供などを行っておりました。会社としてスポーツ選手へのサポートに力を入れており、社内のスポーツ栄養士をグループ内で活用し、また横浜FCのサポートで培った知見をLEOCの給食サービスに生かしていくというグループシナジー効果を創出する考えがありました。2022年にハイパフォーマンス・サポートプロジェクト室を設置するというお話があり、チームからの依頼と社内からもスポーツ栄養士としての活躍の場をいただき担当することになりました」

――栄養戦略室に配属となる以前に、スポーツ関連の仕事をされた経験はあったのでしょうか?

 「いえ、ありませんでした。社内でのスポーツ栄養に関する勉強会や、外部のセミナーに参加してインプットとアウトプットを繰り返して情報収集を行っていました。

 私自身、幼い頃にクロスカントリースキーをやっていたのですが、その時に極度な体重の減少や貧血があり個別に食事指導と栄養教育を受けたことで、パフォーマンスが向上した経験があります。その事がきっかけとなって栄養に興味を持つようになり、栄養とスポーツの両方に関わる仕事に就きたいと思いLEOCに入社しました。入社当時は病院勤務でしたが、2022年よりこのようなご縁でスポーツ栄養の分野に携わらせていただき現在に至ります」

横浜FCチーム統括本部 栄養戦略室の西川綾氏

――株式会社LEOCは2005年から横浜FCのオフィシャルパートナー(現在はONODERA GROUPとして)を務めており、2007年からはチーム初の専用施設となる「横浜FC・LEOCトレーニングセンター」を開設して栄養面のサポートを行ってきたそうですが、新たに栄養戦略室を立ち上げたのはより密なサポートを行うためということでしょうか?

 「そうですね。私が配属となる以前の食事提供は、練習後の昼食とホームゲームの後だけでしたので、オフの日や朝夕の食事に関しては選手任せでした。メディカルチェックの栄養関連データに課題が見られた選手には、食堂担当の管理栄養士が個別面談をしていましたが、単発で終わっていたようです。しかし本来、朝夕、補食を含めた日々の栄養摂取状況が良好でなければ競技力向上は望めませんし、栄養指導は課題が解決されるまで継続しなければ意味がありません。そのため、栄養戦略室設置後は管理栄養士が常勤となり、キャンプはもちろん近場のアウェイゲームにも帯同し、食事提供にとどまらない栄養サポートを実施することになりました」

試合中の「攣り」が激減

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Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。