マテウス・レイリア加入で大分の何が変わったのか。3連勝の理由と、勝ちパターンを広げるための課題
トリニータ流離譚 第40回
J3からJ2、そしてJ1へと昇格し、そこで課題を突きつけられ、漂泊しながら試練を克服して成長していく大分トリニータのリアルな姿を、ひぐらしひなつが綴る。第40回は、9月に加入したマテウス・レイリアがチームにもたらした変化を取り上げる。3連勝を達成するなど個の強みを生かした勝ちパターンができてきた一方で、それを安定して再現するための組織力には課題が残る。選手層の底上げと戦術的な柔軟性という難題に、四方田トリニータはどう向き合っていくのか。
8月ラストの第4節・徳島戦の敗戦から9月の4試合は4連続引き分け。苦しい時期を過ごしたあと、10月最初の第9節・山形戦で劇的勝利を収め、「5戦未勝利」から「5戦無敗」へと反転させると、続く第10節・横浜FC戦を2-1、第11節・新潟戦を5-1と3連勝。ようやく上昇気流に乗れたかに思われた。
だが、第12節・磐田戦と第13節・甲府戦は2戦連続ドロー。それでも「9戦無敗」という状況で臨んだ第14節・宮崎戦では、チームの成熟度の差を見せつけられるように0-2で完敗。そこから中2日で迎えた第15節・八戸戦は4試合ぶりに勝利したものの、劣勢の時間を多く過ごす苦しい展開となった。連戦を含む10月の6試合は3勝2分1敗。勝ち点を積み上げ順位も一桁まで挽回したが、3連勝後の試合内容が気になるところだ。

マテウス・レイリアが変えた大分の“重心”。3連勝を生んだ前線の推進力
3連勝を遂げるに至った直接的な要因は、9月15日に加入したマテウス・レイリアの存在だ。チームに合流直後の第7節・札幌戦から先発出場を続け、攻守に強度をもたらした。何よりも、自陣でボールを奪って強烈な推進力を発揮し一気に陣地を回復してくれることで、押し込まれた状態からなかなか押し戻せずにいたチームの課題をほとんど1人で解決する形になった。

第8節の藤枝戦からはパトリッキ・ヴェロンが負傷から復帰し、マテウス・レイリアと2シャドーを組む。パワフルなマテウス・レイリアとテクニシャンのパトリッキ・ヴェロンが前線で時間を作れるようになったことで全体の重心が高くなり、以前はプレスバックや組み立てで中盤まで下りることの多くなっていた1トップの有馬幸太郎もゴール前で駆け引きする場面が増えた。特にハイプレスからのショートカウンターでのチャンスは、チームの好調の象徴的なスタイルとなる。
その1トップ2シャドーが攻撃をリードして、交代選手も含め複数得点で3連勝。第11節は首位争い中の新潟に5得点で大勝し、その威力を見せつけたかに思われた。だが、それも長くは続かない。好調の波に乗ればあっという間に潰されるのが、どのシーズンも大混戦の様相を呈する魔境J2の恐ろしさだ。

守備陣の奮闘と交代策。八戸戦で示した大分の「勝ちパターン」
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Profile
ひぐらしひなつ
大分県中津市生まれの大分を拠点とするサッカーライター。大分トリニータ公式コンテンツ「トリテン」などに執筆、エルゴラッソ大分担当。著書『大分から世界へ 大分トリニータユースの挑戦』『サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと』『監督の異常な愛情-または私は如何にしてこの稼業を・愛する・ようになったか』『救世主監督 片野坂知宏』『カタノサッカー・クロニクル』。最新刊は2023年3月『サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち-』。 note:https://note.com/windegg
