J2昇格に向けて上位争いを繰り広げるFC岐阜。昨年7月から指揮する石丸清隆監督がチーム作りを進めて1年以上が経過したが、選手の技量やチームが変貌しつつある。今回、石丸監督の頭のなかを覗かせてもらった。前編では「個人の鍛え方」をテーマに話を聞いた。
大前提は「ボールが自分の身体の一部」
──今日はまず、石丸清隆監督のチームで「どのように個人を鍛えていくのか」について訊ねたいのですが、その基礎に1対1の状況でボールを扱う技術があるような気がしています。サッカーの楽しさでもある対人の状況について、石丸監督はどう捉えていますか。
「僕が個人を鍛えているとか偉そうなことは思っていないし言えないですが、要は、ボールが自分の中の一部じゃないと困るんです。めちゃくちゃ速いとか、巧いとか、すごい選手がいっぱいいるならば、なんとでも解決方法は見出せると思いますが、そうではない場合にどうすれば相手をコントロールできるか。僕が考えるのは、シンプルに、常に自分がボールを触れるところに置いておくということ。それができていないボールはコントロールできていないもの、ルーズボールと捉えます。相手をコントロールするには、まずボールが自分の身体の一部になっている、という感覚で自在に操れるようにしたい。そこまでできてはじめて、チームとしてやりたいことができてくるのだと思っています」
──なるほど、相手を動かすためにも、その感覚が必要だということですね。
「パワーとパワーなら、確実に力の強いほうが勝ってしまう。でもサッカーにはボールがあるので、ボールをうまくコントロールして相手のパワーを利用できれば、力が強くなくても勝てる要素は見つかると考えます。ほかならぬ現役時代の僕がそうだったんですよ。どちらかといえば、速くもないし、強くもないけれども、ボールを自分たちのテリトリーに置いておけば、思ったようなことができた、という小さい頃の体験がスタートなんです。そこを発想の源として、(特に身体能力に秀でていない)誰でもできることってなんだろうと思ったときに、すごく足が速い選手にポンっと一発の長いパスを出せば確かに速いけれど、そうではなくても、近くへのパス一つひとつをつなぎ合わせても、サッカーは速くなるんじゃないかと考えたんです。そこを共有して理解すれば、みんながアクションを起こしやすくなるのかな、と」
──ゴールシーンでも、相手の堅い守備を無理やりこじ開けるなら強烈なシュートが必要になりますが、相手を崩しきっていれば弱いシュートでも決まりますよね。フィジカルがなくとも、一定のロジックとスキルがあれば優っていける、と。
「そうですね。そこに個人の能力がプラスされたら、その人の色が出てくる。それがダメとかじゃなくて、ボールの置きどころはどの辺りがいいかとか、ファーストタッチの距離感というのは、一人ひとり違うと思うので。自分がボールに触れる(最適な)場所がどこなのか、それを各自が理解して、それをみんなで共有していけばいい。みんなが次のアクションを起こしやすい状態にあって、なおかつ相手が引き出されるような状況からどんどん背中をとっていく。そういう状況はつくりやすいのかなと思っています」

ボールを持っている人が相手の行動を決める
──となると、石丸監督が掲げるフットボールをやっていくためには、高い身体能力はなくてもよいけれど、最低限、ボールを自由に扱える技術はベースとしてまず必要になってくる、と。
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