困難を乗り越える中で深まっていく信頼関係。アルビレックス新潟は大敗から立ち上がるたびに強くなる
大白鳥のロンド 第39回
序盤から拮抗した戦いが繰り広げられている、2026/27シーズンのJ2リーグ。アルビレックス新潟は11節が終了した時点で3位と、悪くない時間を過ごしている。前節こそ大分トリニータに5失点を喫して敗れたものの、これもさらなる成長を遂げるための過程の1つ。あらゆることを糧にして、船越アルビはJ1昇格へと駆け抜けていく。
11節終了時で3位。まだまだ成長途上
J1リーグ昇格を目指し、2026/27シーズンのJ2リーグを戦うアルビレックス新潟。一度も連敗することなく、J2第6節・モンテディオ山形戦以降は3位以内をキープしている。第11節を終えた時点で、6勝2分3敗で、リーグ3位。首位のベガルタ仙台(勝点24)とは勝点4差、2位のRB大宮アルディージャとは勝点20で並ぶ。ただ、7位の大分トリニータ(勝点17)とも、わずか「3」差。非常に拮抗したリーグとなっている。
順位表で気になるのは、「-4」という得失点差(15得点19失点)。順位が近い上位陣の「+10」「+9」と比べて、新潟は極端に低い数字となっている。勝った6試合のスコアは、すべて1点差。ギリギリの戦いをモノにする粘り強さがある。一方、負けた3試合のうち、2試合で5失点。一度崩れると大敗してしまう脆さもある。
「僕らはミスをして成長するチーム」と船越優蔵監督も言及するように、新潟はまだまだ成長途上。課題が出るたびに、しっかりと向き合って修正し、強くなるための糧としている。今季は負けると、次の試合から連勝するというサイクルを繰り返してきたことが、上位にいる理由でもある。

主将・舞行龍ジェームズがこのチームにいる意味
そうしたサイクルを生み出す力になっている一人が、舞行龍ジェームズだ。今季、指揮官から主将に指名されたプロ19年目のベテランDFは、就任時に「チームをより一層成長させるために、時には厳しいことも伝えていく覚悟です。チームとして高い質を求めていきたいからこそ、自分自身にも要求しますし、選手同士でも互いに高い要求をし合える環境を作っていきたいです。コーチングスタッフとも密にコミュニケーションを取りながら、さらに強く、一体感のある『ONE TEAM』を作り上げ、チームを成長させていきます」と宣言。英語と日本語のバイリンガルであることも生かし、チームをまとめている。
今年のJ2・J3百年構想リーグを通し、船越監督が掲げる「戦う、走る、仕掛ける、規律」というコンセプトはチームに浸透した。「素晴らしいベースはできたし、いい方向には向かっているけど、もっと要求を伝え合ったり、質を上げなければいけない」。舞行龍は細部にこだわることで、チーム力を高めようと働きかける。
練習内容を選手が理解し表現できていないと感じれば、コーチを待たずに自ら指摘する。試合中、失点したらすぐにピッチ内で全員を集め、やるべきことを共有する。負けた試合の後は、選手同士で意見を交換する場を設ける。
最初に大敗した第5節・横浜FC戦(0●5)の翌週は、ピッチで危機感を持って行動する様子が見られた。全体練習後、GKバウマンとMF大西悠介に声をかけ、ゴール前で意見を交換。相手CKに対し、2人が重なる形でクリアしきれなかった場面の守り方を、どうすべきか確認した。また、“壁”が割れて直接FKから喫した1失点目についても、当該の選手たちと細かく確認した。
「ノアム(バウマン)は英語を話せるので、俺が選手との間に入って通訳しながら、細かく話した。FKからの1失点目についても、壁の役割も一つひとつ確認した。もちろんGKによっても守り方は変わるので、また試合前に細かく確認する。分かっていることでも、確認し続けることが必要」と、意見のすり合わせには妥協しない。そこから、チームの守備は大崩れすることなく、リーグ5試合負けなしと勝点を積み上げていった。

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Profile
野本 桂子
新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。現在はアルビレックス新潟のオフィシャルライターとして、クラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。
