先制されても、追いつかれても、最後まで勝利を信じて走り続ける。2026-27シーズンのRB大宮アルディージャは、開幕からその姿勢を結果につなげている。今季から指揮を執るのは、スペインとイングランドで指導者としてのキャリアを積んできた37歳のナルシス・ペラッチ・ナダル。高い位置からのプレスと縦への攻撃を掲げ、昨季から続くカウンタープレスをさらに進化させながら、ビルドアップや撤退守備にも新たな基準を持ち込もうとしている。若き指揮官が大宮にもたらそうとしている「もう1つ上」のフットボールとは何なのか。プレシーズンから開幕2連勝まで、その現在地を追った。
「最後まで勝てると信じる」――37歳の指揮官が示した大宮の新しい姿
先制されながら攻撃力を発揮して逆転。追いつかれても、最後まで諦めずに突き放す。2026-27明治安田J2リーグ第2節、RB大宮アルディージャは敵地に乗り込み、FC今治に逆転勝ちを収めた。
「我々のチームは、いい時間帯に仕事をしてくれたと思います。最後まで勝てると信じてやってくれました。試合に勝つには自分たちが勝てると信じていかなくてはいけない。その点で言えば1歩前進できたのではないかと思っています」
自チームをそう称えたのは、2026-27シーズンから大宮を率いるナルシス・ペラッチ・ナダル監督。37歳、まだ監督としては若いとも言える、青年監督である。
確かにこの試合は難しいものになった。さいたまダービーとなった浦和レッズとのプレシーズンマッチを含め、ここまで3試合目にして初めて相手に先制を許した。今治のホーム開幕戦、改装なったアシックス里山スタジアムのお披露目試合でもあり、ホームチームを後押しする雰囲気は相当なものだった。
それでも、大宮はアグレッシブに反撃に出る。前節アルビレックス新潟戦の影響と思われる山本桜大の欠場も物ともせず、同点、逆転を狙った。
12分、攻め込んだ後にボールを奪われたが、激しくプレスをかけて奪い返す。加藤玄のプレスでこぼれたところを加藤聖、カルリーニョス・ジュニオ、豊川雄太とつなぐ。豊川のスルーパスを左サイドの泉柊椰が受けるとグラウンダーのクロス。ファーサイドへ走り込んだカプリーニがゴールへ流し込んだ。
【ゴールシーン(8/15・今治戦)】
⌚️ 12分
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16分には中央で、そして右サイドでデュエルに勝った大宮が前進する。中央でボールを受けた中山昂大がスルーパスを差し込むと、走り込んだカルリーニョスがシュートを打つが、これは相手GKに阻まれた。
27分は最終ラインからビルドアップの意欲を見せる。西尾降矢が関口凱心につなぐと、関口が独力で持ち上がり、豊川にパス。豊川のシュートは相手選手に当たりこぼれたが、これを加藤聖が拾うと前線へロングクロスを入れる。これにカルリーニョスが頭で合わせ、逆転に成功した。
【ゴールシーン(8/15・今治戦)】
⌚️ 27分
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折り返した52分、中盤で奪ったカプリーニを起点に、泉がシュートを狙うがクロスバーに阻まれる。この機を逃すと、今治にペースを握られる。そして68分、CKのこぼれ球からミドルシュートを決められ、タイスコアとされてしまった。
アウェイでホームチームに追いつかれる展開、途中投入されていた小島幹敏も「流れがホーム側にいく」ことを危惧していた。それでも、大宮の選手たちは冒頭に示した指揮官の言葉のように、「最後まで勝てると信じて」プレーし続けた。
そしてアディショナルタイムに入った90+1分。加藤聖の正確なサイドチェンジが関口に入ると、関口はそのまま縦に仕掛ける。グラウンダーのクロスは相手選手が弾いたが、そのこぼれ球を小島がすかさず拾うと、ゴールへ蹴り込んだ。劇的な逆転勝利となった。
【ゴールシーン(8/15・今治戦)】
⌚️ 90+1分
⚽️ 小島幹敏🔽試合結果はこちらhttps://t.co/CTRqDICJeP#RB大宮アルディージャ #ardija pic.twitter.com/acxfe3C10S
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「試合の中で戦術的、技術的にいい時も悪い時もあったと思います。ホームチームからプレッシャーがかかったシーンもありました。そういった中でもチームのため、クラブのためにしっかりと向き合ってプレーし続けた。自分は本当に彼らのことを誇りに思いたいです」
試合後、ナダル監督は開幕2連勝を遂げた選手たちを称え、胸を張った。
J1昇格の先にある「もう1つ上」の基準
2017年、地元ジローナ(スペイン)で指導者として歩み始めたナダル監督。その後はイングランドでキャリアを積んできた。
監督への就任時、大宮でヘッドオブスポーツを務めるスチュアート・ウェバーはクラブHPにて「私たちは明確なフットボールビジョンを持ち、選手を成長させる力があり、日頃のスタンダードを引き上げられる指導者を求めていました」と経緯を語り、ナダル監督について「スペインとイングランドでの経験を通じて、戦術面、育成面、そしてチームマネジメントにおいて優れた資質を示してきた人物。彼の考え方、情熱、そして求められる高い基準は、RB大宮アルディージャが目指すチーム像と非常に合致しています」と紹介した。キャリアを見るとノリッジ・シティFCに同時期に所属しており、レッドブルネットワークというよりはウェバーの人脈から選ばれたと思われる人材だろう。
このたび、2026/27シーズンより、ナルシス・ペラッチ・ナダル 氏がトップチーム監督に就任することが決定いたしましたので、お知らせいたします。
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— RB大宮アルディージャ (@Ardija_Official) June 24, 2026
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Profile
土地 将靖
1967年埼玉県生まれ。1993年のJリーグ開幕と同時に試合速報サービスのレポーター兼ライターとして業界入り。2001年よりフリーに転身し大宮アルディージャに密着、各種媒体への寄稿を細々と続けている。2005年より続いていた大宮全公式戦の現地直接取材はコロナ禍で途絶えたが、近年は下部組織の取材にも注力し、精力的に活動している。
