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「27秒で世界を驚かせた18歳」水戸の“超新星”安藤晃希を支える“信念”と“仕組み”

2026.05.12

【特集】百年構想リーグで台頭したU-21の新星#6

昇降格というプレッシャーから解放された百年構想リーグでは、勝敗だけでなく「成長」にも大きな価値が置かれる。若手にとって“試される場”であると同時に、“伸びるための舞台”でもある。本特集では、その環境の中で自らの才能をピッチ上で証明し始めたU-21の新星たちに光を当てる。

第6回は、水戸に現れた18歳のドリブラー、安藤晃希。J1デビューからわずか2試合。日本代表経験者を次々と抜き去り、衝撃的なゴールを叩き込んだ“超新星”は、いかに見出され、いかに育まれ、いかにしてJ1で衝撃を残したのか。スカウト担当・柏葉涼太の証言から、その才能の源泉を追う。

 第12節FC東京戦、1-4のビハインドを負った69分、ピッチに投入されたのは18歳の高卒ルーキー安藤晃希だった。

 27秒後、左サイドで室屋成からボールを奪った安藤はそのままゴール前に進入。鋭い仕掛けで元デンマーク代表DFアレクサンダー・ショルツを抜き去り、カバーに入った室屋を切り返しでかわして右足を一閃。韓国代表GKキム・スンギュからゴールを決めた。

 勢いは止まらなかった。

 翌節町田戦、1-2で迎えた90分、68分からピッチに立った安藤は左サイドでボールを受けて、望月ヘンリー海輝とマッチアップ。相手の間合いを見計らって、股を通してドリブル突破。ゴール前に切り込むと、カバーに入った昌子源を振り切り、強烈なシュートをゴール左上に突き刺した。

 2戦連続して、日本代表を経験した実力者を手玉に取ってゴールを決める衝撃のデビューを飾った若者に大きな注目が集まった。突如として輝きを放った水戸の“超新星”。果たして、どのようにその才能は発見され、水戸にやってきたのか。そして、いかに育まれて、この活躍に至ったのか。スカウトを担当する強化部の柏葉涼太に聞いた。

「ずっとドリブルばかりしている選手」柏葉が惹かれた“異質さ”

 柏葉がはじめて安藤を見たのは、高校2年の春。新チームがスタートした頃、関係者から「流通経済大学柏高校に面白い選手がいる」という情報が入り、見に行ったのがきっかけだった。そこで見た安藤は「ずっとドリブルばかりしている選手」だった。

 「自分の好きなことだけをやって、それ以外のことはしなかった」

 ただ、そんな安藤に柏葉は惹かれた。

 「高卒選手のプロファイルとして、まずはフィジカルのところを重視しています。特に彼は俊敏性というか、クイックネスがあってアジリティも高かった。爆発的なスピードもあった。パワーはないけど、スピードに関しては、高校トップクラスでした。プロになってから指導しても、手に入れることができないものを持っていた。あとはドリブルですね。最初に彼を見た時も、その後に見た時も彼のスタイルは変わらなかった。常に間合いと遊び心があって、縦にもカットインもいける。ドリブルしながら、加速とボールを押し出す強さ、タイミングが秀逸。自分のストロングポイントを理解して、それをやり続けたところに惹かれたんです」

 3年時には背番号10を背負い、高校選抜にも選出され、注目度は一気に上がった。Jクラブの多くのスカウトも安藤に興味を持ち始めた。しかし、プレーの波が激しく、活躍できる試合もあれば、独りよがりのプレーに終始してしまう試合も少なくなかった。フィジカル面やパワー面、さらには質の高いプレーを持続させる力の弱さなどを理由に挙げて、次々とスカウト陣は撤退していった。

 柏葉も波の激しさは気になった。だが、それでもやり続ける「メンタリティ」を評価した。

……

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Profile

佐藤 拓也

1977年生まれ。神奈川県出身茨城県在住のフリーライター。04年から水戸ホーリーホックを取材し続けている。『エル・ゴラッソ』で水戸を担当し、有料webサイト『デイリーホーリーホック』でメインライターを務める。

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