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いわきFCの来場者分析で証明された「初回が分岐点」。2025年の“全試合通いの熱狂サポーター”の2割がその年の新規来場者という結果に

2026.05.05

いわきグローイングストーリー第18回

Jリーグの新興クラブ、いわきFCの成長が目覚ましい。矜持とする“魂の息吹くフットボール”が選手やクラブを成長させ、情熱的に地域をも巻き込んでいくホットな今を伝える。

第18回は、いわきFCが3月27日に公表した来場者分析レポートについて、クラブの担当者にインタビュー。浮かび上がる数字の詳細分析、そしてファン化への施策について語ってもらった。

 いわきFCは2026年3月27日、オフィシャルサイトで2025シーズンのホームゲーム来場者分析レポートを公表した。J2リーグで最小クラスのスタジアム(ハワイアンスタジアムいわき(以下、ハワスタ)、キャパシティは5,066人)を本拠地に、平均来場者数4,372人を記録し、完売試合も複数あったシーズン。クラブは設立10周年という節目を迎え、「全試合満員」を目指す中で、マーケティングデータベースを活用した本格的な来場者分析を実施した。

 このレポートを主に取りまとめ、分析を推進したのがクラブスタッフの岡亮志さんだ。レポートはデータ分析とインタビュー調査を組み合わせ、来場回数別のファン層を可視化し、特に「初回来場者の体験」がその後のファン化、ロイヤル化を大きく左右するという発見を明らかにした。

 インタビューでは、分析の背景から具体的な結果、新たな発見、周囲の反応、今後のクラブの方向性までをじっくり伺った。クラブが自らデータを公開し、ファン拡大の課題をオープンに議論する姿勢は、Jリーグ内でも注目を集めている。

分析を始めた背景「ファンベースをちゃんと理解したい」

 「全社的にハワスタを全試合満員にしようという目標を掲げたとき、まず必要だと思ったのが私たちの試合に足を運んでくださっているファンを知ることでした」と岡さんは振り返る。

 2025シーズンの平均来場者は4,372人。完売試合も6〜7試合あったが、俯瞰すると4,000人に満たない試合もあった。

 「現状のファンペースを我々がちゃんと理解しないと、効果的なマーケティング施策も、お客様が喜んでくれるポイントも見えてこない」。これが分析の出発点だった。

 スタジアムのキャパシティは5,066人。アウェイサポーターの動員もあるが、まずはホームのベースをしっかり上げたい。リピートしてくれているサポーターはもちろん大切だが、クラブとしてさらなる熱狂空間を創出するためにも、「どんな人たちが我々の試合を見に来ているのか」を把握する必要があった。

 「仮説はざっくり持っていました。でも、蓋を開けてみないと正直分からない部分が多かった」。クラブとして、そんな認識でプロジェクトをスタートさせた。

Photo: ©IWAKI FC

データ分析で明らかになった「二極化」と意外な発見

 分析の結果、来場回数別の層に明確な二極化が見えた。

 最も多かったのは「1回のみ」のF1層で2,396人。次いで「16回以上」のF5層が1,680人と大きなボリュームを占めた(うち全19試合通いの熱狂サポーターは854人)。

 来場回数が増えるほど福島県在住比率が高まり、F5層では95%が県内居住者。F5層の約7割がシーズンチケット会員である一方、F1層の約9割は非会員という対照的な構造も浮かび上がった。

 特に驚いたのが、F5層の中に「2025シーズンに初めて来場した人」が相当数いたことだ。「F5層の約2割が年初来場者でした」。これはクラブにとって大きな発見だったという。

……

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Profile

鈴木 康浩

1978年、栃木県生まれ。ライター・編集者。サッカー書籍の構成・編集は30作以上。松田浩氏との共著に『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』がある。普段は『EL GOLAZO』やWEBマガジン『栃木フットボールマガジン』で栃木SCの日々の記録に明け暮れる。YouTubeのJ論ライブ『J2バスターズ』にも出演中。

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