REGULAR

1年越しで動き出した時計の針。サガン鳥栖・安藤寿岐が挑む“勝負の2年目”のスタートライン

2026.03.10

プロビンチャの息吹~サガンリポート~ 第25回

開幕スタメンを飾り、いきなり好パフォーマンスを披露したものの、骨折で長期離脱を強いられたことで、思うような時間を過ごせなかったのは2025年シーズンのこと。本来より1年前倒しで、アカデミー時代の古巣であるサガン鳥栖に帰ってきた安藤寿岐は、勝負の2年目となる今季を前にどんなことを考えてきたのか。杉山文宣が期待のサイドバックを直撃する。

プロデビュー直後の骨折。つかめなかったチャンス

 2月15日、J2・J3百年構想リーグ第2節、駅前不動産スタジアムでのホーム開幕戦のキックオフ前、安藤寿岐の胸中にはある思いが去来していた。

 「ちょうど1年前だったな」

 1年前の同じ日付、同じ時間、同じ場所で安藤はプロデビューを果たした。筑波大学3年生だったが、卒部という形で大学卒業を待たずに“1年前倒し”でプロの世界に飛び込んだ。選んだ進路はサガン鳥栖。下部組織で育ててもらった古巣への帰還だった。

 高い前評判どおりにいきなり開幕スタメンの座をつかむと、プレーでもその実力を証明してみせた。右サイドバックに入るとマッチアップしたのは鳥栖U-18の1学年先輩でもある相良竜之介であり、J2でも屈指のドリブラーとの対峙だった。

 試合前には「もし、マッチアップするなら絶対に勝ちたい」と話していたとおり、試合では何度かあったマッチアップを制し、先輩をしっかりと完封。チームは接戦の末に敗れてしまったが、J2屈指のドリブラーを封じ込めたことで高い前評判が額面どおりであることを自ら証明し、安藤自身も大きな自信をつかんだ。

 前途洋々のプロスタートを果たした安藤だったが、好事魔多しとはよく言ったもので、思いがけないアクシデントに見舞われることになってしまった。仙台戦を終え、次節への準備が始まった翌週の練習中、対人プレーの際に不自然な状態で足を着く形になってしまうと、足の指先にイヤな感触が走る。痛みが出た箇所は診断の結果、左足の第五中足骨骨折。全治3ヶ月の重傷だった。

長期離脱にもポジティブに挑んだリハビリの日々

 大志を抱いてプロの世界に飛び込み、下部組織時代に憧れていたユニフォームに袖を通し、夢見ていたピッチにも立った。そこでプロの世界でも戦っていける自信もつかんだ。そんな矢先に待っていた落とし穴は安藤のメンタルに大きなダメージを与えた。

 「けがをして1日、2日くらいはけっこう、へこみました。何に対してもやる気が出ないような感じになってしまいました」

 ただ、それ以上は引きずらなかった。

……

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Profile

杉山 文宣

福岡県生まれ。大学卒業後、フリーランスとしての活動を開始。2008年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』でジェフ千葉、ジュビロ磐田、栃木SC、横浜FC、アビスパ福岡の担当を歴任し、現在はサガン鳥栖とV・ファーレン長崎を担当。Jリーグを中心に取材活動を行っている。

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