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伊東純也たちが暮らす小さくて温かいサッカーの街。ゲンクほんわか観戦ガイド【現地取材・後編】

2026.03.09

スタッド・ランス時代の伊東純也を取材してきた小川由紀子さんのベルギー出張レポート。後編では、心穏やかな旅を楽しめ、そしてマッチデーにはじんわり胸に残る観戦体験を味わえる、オランダ国境に近い小都市ゲンクの街とスタジアムを案内したい。

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ヘンクじゃなくてゲンク!(ヘントはヘント)

 伊東純也が所属するKRCゲンクは、昨年12月末に伊東がケガから復帰した後、メキメキと成績を上げて、リーグ優勝を争うプレーオフ1に参戦できる6位と勝ち点1差の位置まで浮上してきた。

 レギュラーシーズン(全30節)は残り2試合。なんとしてでも6位以内をキープしようと、チームも燃えていることだろう。

 トップチームには、昨年2月に期限付きで加入し、今シーズンから本契約となったFW横山歩夢もいる。まだトップリーグでは試合に出場していないが、3月4日で23歳になった横山と、本日9日が誕生日の伊東に加えて、ユースチームにもMF保田堅心(3月5日で21歳)とDF吉永夢希(2月22日で20歳)が所属。奇しくも全員魚座の日本人選手4人が日々研鑽している。

 そこでゲンクレポート第3回となる今回は、彼らが暮らすゲンクの街や、マッチデーのスタジアムの雰囲気などをご紹介しようと思う。

 ゲンクは、ベルギーの首都ブリュッセルから東に直線距離で80kmほど、電車で約1時間40分のところにある。オランダ国境に近くて、マーストリヒトには車で30分もあれば行けてしまう。およそ88㎢の面積に約6万8000人が暮らす、のどかな地方の小都市だ。

 ところで“Genk”の呼び名だが、ちょうどタイムリーにKRCゲンクの日本語公式Instagram『krcgenk.jp』が、伊東ら選手たちが出演するミニ動画を投稿していて、

 「ヘンクじゃなくてゲンク!」

 とレクチャーしていた。確かに、現地の人々の発音を聞くと、クリアな“ゲ”という音でこそないものの、“ヘ”よりは“ゲ”に近い。出身地によって発音の仕方も微妙に変わるらしいのだが、ゲンクで出会った人たちに聞いて回ったら、

 「ヘンク? それはヘント(Gent)のことだよ。ここはゲンク」

 とみんなに言われたから、カタカナにするなら“ゲンク”が近いと思う(そしてGent は“ヘント”であるらしい)。

 この難しい発音は、ゲンクの公用語であるフラマン語だ。オランダ語の方言のような言語であるフラマン語には、実にカタカナにしにくい発音が多い。ベルギーにはリエージュなどフランス語圏もあるけれど、ゲンクではスーパーマーケットの店内とか駅の掲示板とか、いろいろな案内表示もフラマン語のみであることが多い。

 ベルギーは、ヨーロッパの中でも人が温和で優しいと言われている国だけあって、ゲンクでもみんな親切で、心穏やかに過ごせる。驚いたのが、街の中に信号が少ないこと。横断歩道はあっても信号機がなかったりするのだが、人が通る時には車が100%止まってくれる。なので歩行者は、常に信号青の状態で街歩きができてしまうのだ。

旅のはじまり、ゲンクの鉄道駅。ちなみにトイレが超きれい(Photo: Yukiko Ogawa)
街なかには信号がほとんどないけれど、必ず車が止まってくれる(Photo: Yukiko Ogawa)

おらが街の自慢は…やっぱりKRCゲンク!

 街のみどころ、となると、特にコレ、というものがあるわけではなく、駅周辺にショッピングセンターがあるのと、駅から10分くらい歩いたところにきれいな池のある広々とした公園がある。お天気がいい日に散歩するには気持ちがいい場所だ。

市民の憩いの場、モーレン池でお散歩する親子(Photo: Yukiko Ogawa)
野生の鳥もいっぱい。奥に見える建物はかつてゲンクでプレーした鈴木隆行選手(当時)も滞在していたホテル(Photo: Yukiko Ogawa)

 街の中心広場にはカフェやレストランが連なっていて、週末は夜遅くまで賑わっている。

みんなが集まる街の中心広場(Photo: Yukiko Ogawa)
地元民にとって一番のレジャースポット。駅前通り沿いにあるショッピングセンター(Photo: Yukiko Ogawa)

 ゲンクは20世紀初頭から炭鉱業で栄え、その時に国外から働き手が集まってきた名残で、今でも様々な文化背景を持つ人たちが暮らす民族色豊かな街だ。

……

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Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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