サウダージの国からボア・ノイチ 〜芸術フットボールと現実の狭間で〜 #23
創造性豊かで美しいブラジルのフットボールに魅せられ、サンパウロへ渡って30年余り。多くの試合を観戦し、選手、監督にインタビューしてきた沢田啓明が、「王国」の今を伝える。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第23回(通算201回)は、2002年日韓大会以来となる6度目のワールドカップ優勝を課せられたセレソンの、組み合わせ決定後の反応と対戦相手について。
「かなり困難なグループ」とアンチェロッティ
来年の北中米W杯で、ブラジルはモロッコ、スコットランド、ハイチと同居するグループCに入った。
現地6月13日18時にニュージャージーでモロッコと、19日21時にフィラデルフィアでハイチと、24日18時にマイアミでスコットランドと対戦する。夕方や夜の試合なので、暑さの影響はなさそうだ。試合地間の距離も、それほど遠くない。
この組み合わせについて、抽選会に出席したカルロ・アンチェロッティ監督は、以下のようにコメントした。
「モロッコが最大の強敵。攻守両面で組織的にプレーし、選手個々の能力も高い。前回大会ではグループステージでクロアチアやベルギーを抑え、ラウンド16以降はスペイン、ポルトガルなどの強豪を退けてベスト4に食い込んでおり、以後さらに成長している」
「スコットランドは身体能力が高く、ハードにプレーをする。欧州予選ではデンマークなどの強敵を倒した」
「(52年ぶり2度目の出場の)ハイチも、代表選手の多くが欧州や北米のクラブでプレーしている。北中米カリブ海予選を勝ち上がったのは、決して偶然ではない」
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Profile
沢田 啓明
1986年ワールドカップ・メキシコ大会を現地でフル観戦し、人生観が変わる。ブラジルのフットボールに魅せられて1986年末にサンパウロへ渡り、以来、ブラジルと南米のフットボールを見続けている。著書に『マラカナンの悲劇』(新潮社)、『情熱のブラジルサッカー』(平凡社新書)など。
