サウダージの国からボア・ノイチ 〜芸術フットボールと現実の狭間で〜 #22
創造性豊かで美しいブラジルのフットボールに魅せられ、サンパウロへ渡って30年余り。多くの試合を観戦し、選手、監督にインタビューしてきた沢田啓明が、「王国」の今を伝える。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第22回(通算200回)は、3月開幕の全国リーグも残り1カ月となった2025シーズン、国内で脚光を浴びる次代のスター候補たちを紹介したい。
また現れた「近年最高のアタッカー」ライアン
近年、セレソンは低迷が続いているが(それでもカルロ・アンチェロッティが監督に就任して以降、回復基調にはある)、昨年6月にパルメイラスから推定移籍金4500万ユーロ(約80億円)でチェルシーに加わり、プレミアリーグで力を発揮しつつあるエステバン(18歳)のように、ブラジルは優秀な選手を生み出し続けている。
今季も、国内でブレイクし、近い将来の欧州クラブ移籍が確実視される若手が続々と現れている。
その筆頭が、リオデジャネイロの古豪バスコダガマで育成された19歳のアタッカー、ライアンだ。
左利きで、主として右ウイングとしてプレーするが、CF、左ウイングもこなす。身長185cmと大柄だが敏捷で、技術レベルも高い。パワフルなドリブルでサイドを切り裂き、強烈なシュートを叩き込む。かつてインテルで得点を量産して「インペラトーレ」(皇帝)と呼ばれたアドリアーノと似たタイプだが、テクニックはずっと上だ。
O GOL DE RAYAN 🤳🏻💢
Joga muito o meu menino! 🥵#VascoDaGama pic.twitter.com/srXvnvxmBn
— Vasco da Gama (@VascodaGama) October 16, 2025
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Profile
沢田 啓明
1986年ワールドカップ・メキシコ大会を現地でフル観戦し、人生観が変わる。ブラジルのフットボールに魅せられて1986年末にサンパウロへ渡り、以来、ブラジルと南米のフットボールを見続けている。著書に『マラカナンの悲劇』(新潮社)、『情熱のブラジルサッカー』(平凡社新書)など。
