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25-26シティの決定版は「戦術ホーランド」。当代きっての戦術家ペップが極めた結果が“草サッカー”の奥深さ

2025.11.05

新・戦術リストランテ VOL.91

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第91回は、ボーンマス戦の勝利でプレミア2位に浮上し、ようやく調子を上げてきたペップ・シティ。当代きっての戦術家ペップが極めた結果に出した答えは「戦術ホーランド」だった。

対戦前はシティが8位で、ボーンマスが2位!

 プレミアリーグ第10節、マンチェスター・シティが好調のボーンマスに3-1で勝利。対戦前は暫定とはいえシティが8位、ボーンマスが2位だったのですが、これでシティは一気に2位に浮上。ボーンマスは5位となりました。

 シティに関しては開幕時に取り上げましたが、今季はどうもこれで行きそうだなというものが見えてきました。

 簡単に言えば「戦術ホーランド」です。今季10試合で13ゴールの大爆発。

 かつてボビー・ロブソンがバルセロナの監督だった時に「戦術はロナウド」と発言して以来、「戦術××」とよく言われるようになりました。実際、当時のロナウドはハーフウェイラインくらいから一気に相手ゴールまでドリブルで運んでゴールしていまして、周囲も「よし、行ってこい」という感じではありました。走り出したら味方も追いつけないので。

 戦術ホーランドの方は、ホーランドにお任せというよりホーランドを活かす戦術です。

 具体的には中盤に[4-5-1]のブロックを敷いて守り、相手を前に出させて背後のスペースを広げ、カウンターで一気にそこをホーランドが突く、という戦い方になります。もちろんそれだけではないですけど、これが軸にはなっていますね。

 ボーンマス戦では11分にシェルキのヘディングパスで裏に抜けてホーランドが先制。32分にはまたもシェルキのパスからホーランド。3点目(60分)はシェルキ→フォデンとつないでからのオライリーのミドルでしたが、37分にもドクのパスからホーランドが裏に抜けてGKと1対1になるチャンスがあり、これ決めていればハットトリックでした。

 ホーランドの最大の武器はスピードです。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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