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FCバルセロナとペーニャが目指す“ワンバルサ”の理想

2019.07.22

日本で唯一のFCバルセロナ公認サポーターズクラブ「PENYA  FC Barcelona Japan」は2018年に設立15周年を迎えた。サッカーのグローバル化が進む中、世界中に散らばるファンといかに良好な関係を築いていくかは、ビッグクラブが直面する大きな課題だ。サッカー界のリーディングクラブの一つであるFCバルセロナとPENYA  FC Barcelona Japanは、どんなビジョンを描いているのか。

迎えた2019年夏、FCバルセロナの3年ぶりとなる来日に合わせて「FCB SOCIAL RECEPTION2019」を共催するペーニャとバルサとの“特別な関係”から、クラブのファンの共生の在り方について紐解く。

 昨年夏、都内某所にて開かれたPENYA  FC Barcelona Japan(以下PBJ)15周年記念パーティーには、 PBJメンバーや関係者ら100人以上が出席。老若男女を問わず様々な方がおり、バルセロナとペーニャが築いてきた歴史の重みが感じられた。

 来日したパウ・ビラノバ理事はクラブのソーシャルエリアを担当しており、自らの仕事について「大事なのはファンとクラブを繋げる架け橋になること。エモーショナルな連帯を重視し、サッカーを超えた繋がりづくりを目指している」という。

ペーニャ=ファミリー

 バルセロナのサポーター団体といえばソシオが有名だが、ペーニャというのは世界各地で組織されているバルセロナ公認のサポーターズクラブのことで、その数はなんと2000以上。メンバーに求められるのは「特典を目的に入会するのではなく、家族の一員としてセンチメンタルであること。家族になれることが一番のポイント」とビラノバ氏。

 また、PBJの中野洋樹会長は、ペーニャのメンバーは「バルサのフィロソフィを理解して共有する楽しみ」を持ち、単に熱心なファンというわけではなく家族であることを強調。大事なのは「ペーニャとして、バルサとともに何をするか」。バルサファミリーの一員として、日本でのアンバサダー(バルサ大使)であることを理解して活動するのがペーニャだと語る。

ソシオ認定の再開

 先述の通り、バルセロナにはソシオ制度がある。ただ、一時期ソシオ認定を乱発したため供給過多に。本来、ソシオにはカンプノウのシートが割り当てられていたが、席を持たないソシオが急増したことを受け、近年は国外にいるファンのソシオへの新規認定を凍結していた。中野会長によると、「前経営陣の時代、間に入っていた代理店が商業目的で認定者を増やしたことが原因」だったという。

 しかし、現経営陣の下で軌道修正を図り、国外のソシオの認定を再開。昨年の15周年記念パーティーでは、3年以上PBJに所属し条件を満たした17人のペーニャ会員が新たにソシオ認定を受けた。ペーニャからソシオへ――一度は閉ざされた道が、国外のバルサファンにも再び拓かれたのだ。

ソシオ認定証を手にした方々がビラノバ氏、中野PBJ会長とともに写真に収まった

 認定を受けた方に話を聞くと、「昔ソシオだったんですが一度離れていて、再びソシオになることができてうれしいです」「17年4月から18年8月までバルセロナに住んでいて、試合観戦にも行っていたんです。念願が叶いました」と一様に喜びの声が聞かれた。

 一方で、この話を聞いた私には一つ、この貴重な機会にどうしてもぶつけたい疑問が浮かび上がってきた。

 スタジアムの熱――約10万人の観客を収容する聖地カンプノウで、昨シーズン開幕戦の入場者数が5万2356人となり話題となった。かつてはチケットを取ることすら難しかったクラブのリーグ開幕戦にしては寂しい数字に映った。国外ソシオの認定再開により、入場者数の減少に繋がってしまう懸念はないのだろうか。

 これについてビラノバ理事は、開幕戦は特殊な状況であったことを指摘。「土曜の22時キックオフであったことに加え、あの時期はスペインでは休暇を過ごしている人が多い。年間シートはもちろん、当日チケット買う人が来られるようなサービスを準備しており、シーズンが進めば観客が増えていくのは間違いない」と、心配する様子はないようだ。

 逆に近年、プレシーズンマッチが国際規模のイベントと化し、バルセロナも含め欧州のトップチームが来日する機会が減少している。そんな中でクラブとペーニャとの距離を縮めていくための方策として、PBJから現地へ訪れる機会を増やしてスタンドを埋めたいと中野会長は意欲を口にした。

 「PBJのメンバーの多くは現地を訪れています。やっぱり、カンプノウで(試合を)観て、初めてバルサを感じることができますから。本当のバルサを知ってもらうためにも、ツアーを組むなどそういったことをどんどんやっていきたいと考えています」

“ワンバルサ”

 15周年を迎えたPBJのさらなる発展のために――パーティーの中で印象に残ったのが、中野会長の口から出た“ワンバルサ”というフレーズだった。

 PBJだけでなく、日本でバルセロナと関係のあるすべての組織や企業との横の繋がりを今まで以上に深め、バルセロナファミリーとしてのプレゼンスを高めていこうというもの。

 例えば、バルセロナの本拠カンプノウの改修を、日建設計が担当することが決まった。「新カンプノウ」完成予定の2023年はちょうどPBJの20周年とも重なることから、ツアーを組んで大々的に現地を訪れることを計画しているという。

 この他、バルセロナが国内で運営するスクールとの連携強化も進めているそうだ。

 「バルサの展開するサッカースクール『エスコラ』ではサッカーだけでなく、バルサのフィロソフィを学んでいます。にもかかわらず、これまでは子供たちがスクールを卒業すると関係が断たれてしまう状態でした。そこでスクール卒業後、ペーニャの会員になれるシステムを導入したんです」

 そして今年2019年夏、3年ぶりとなる来日を果たしたバルセロナは、ペーニャと共催で日本のファンと友好を深める機会を用意している。“ファン以上の存在”ペーニャが中心となり、バルセロナと日本との距離はますます縮まっていくに違いない。

最後は全員そろって記念撮影


Photos: PENYA FC Barcelona Japan

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藤原 昂亮