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「君のために僕が走る」シャビに誘われ中東行き選んだガビの決意

2018.12.13

名優たちの“セカンドライフ”


欧州のトップリーグで輝かしい実績を残した名優たちが、新たな挑戦の場として欧州以外の地域へと旅立つケースが増えている。しかし、そのチャレンジの様子はなかなか伝わってこない。そんな彼らの、新天地での近況にスポットライトを当てる。

from QATAR
GABI
ガビ

 「シャビはフェルナンド・トーレスに僕の電話番号を聞いて、それから2、3日後に電話してきたんだ」

 ガビは移籍のきっかけとなったエピソードをこう明かしている。アトレティコ・マドリーの“エル・カピタン”(主将)が新天地に選んだのは、スペインサッカー界のレジェンドの1人、シャビがプレーしているアルサッドだった。

 17-18シーズン終了後、シャビから連絡を受けてアルサッド加入を打診されたガビは、「アトレティコでCLを勝ち獲る」という目標への情熱から、一度は態度を保留。しかし、数日後に再びシャビと話をしてアルサッド側の獲得への熱意について聞かされ、移籍を決断したのだという。「『今後二度とめぐってくることはない』と思えるようなチャンスだった。こうなることは予想していなかったけど、考えをめぐらせている時間はなかったんだ」

 そうして7月2日、アルサッドと2年契約を結んだ。


偉大なるゲームメイカーに手向けを

 移籍決定後すぐに35歳の誕生日を迎えたガビは、8月5日に行われたリーグ開幕戦のアル・ホライティヤット戦に先発しデビュー。アトレティコ時代と同じ背番号14を背に、シャビを筆頭にほぼ同時期にヴィッセル神戸から加入した韓国人MFチョン・ウヨンらと中盤を構成し6-0という大勝スタートに貢献した。以降もスタメンとしてプレーし、上位争いを展開するチームをシャビとともに牽引。その活躍ぶりはファンからの評価も高く、ファン投票によって決まる9月のクラブ月間MVPも受賞した。

 順風満帆のスタートを切った新しい挑戦。だが、加入から3カ月後に初めての挫折が待っていた。アルサッドは、国内のコンペティション以外にも、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)に出場している。加入時期の関係で背番号29での大会登録となったガビも、準々決勝エステグラル戦2試合にフル出場。クラブにとって7年ぶりとなる準決勝進出を果たしていた。そして迎えた10月のペルセポリスとの準決勝。「ACL制覇はアルサッドだけでなく、カタールにとっても重要なことだ。その目標を達成するために僕はここにいる」と意気込んでいたガビは、この準決勝2試合でも180分間を戦い抜いた。しかし結果は、イラン王者相手に2戦合計1-2の惜敗。大目標だったアジア制覇の夢は潰えてしまった。ただ、ヨーロッパの主要リーグと同じ秋春制を採用しているカタールリーグは、まだシーズンの序盤が終わったばかり。リーグ制覇、さらには来年春に始まる来季のACLで雪辱のチャンスはある。

 一方で、キャプテンを務めるシャビは今シーズン限りでの現役引退を表明。2015年からカタールでプレーしながらリーグ優勝できていないシャビにとっては、今季がラストチャンスになる。果たして、ガビは新たな挑戦へと誘ってくれた同胞の先輩の花道を、リーグタイトルで飾ることができるのか。

 加入1か月後にスペインメディアの取材に応じたインタビューの中で、背番号14はシャビにこう伝えていたことを明かしている。
 
 「君は走らなくていい。君のために僕が走るから」

Gabi
ガビ

(アルサッド)
1983.7.10(35歳)
180cm / 73kg MF SPAIN

2004 Atlético Madrid
2004-05 Getafe on loan

2005-07 Atlético Madrid

2007-11 Zaragoza

2011-18 Atlético Madrid

2018- Al Sadd (QAT)

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Great match !! +3 !! @alsaddsc

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Photos: Getty Images

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Profile

小田 紘也

1989年、鹿児島県鹿児島市生まれ、神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学経済学部卒。2012年からライター活動を開始し、同年にマドリッドでスペイン代表のEURO2012優勝の興奮を直に経験。スペイン語技能を生かしてスペインサッカーのニュースを“輸入”し、スペインリーグについてのデータサイトも運営している。趣味はギター演奏、ジャンルを問わない音楽鑑賞でビートルズについての造詣も深い。