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前回大会から何が変わった?カタールW杯開幕前に知っておきたい、競技規則改正5つのポイント

2022.11.19

得点、PK、一発退場、人間違い、そして主審が確認できなかった重大な事象に介入するVARが初めて導入され、ジャッジの正確性とプレーの高潔性が向上したロシアW杯からはや4年。20日にカタールで幕を開けるW杯では前回大会と比べ、どのような競技規則の改正点があるのか。開幕前に知っておきたい5つのポイントを攻劇氏に解説してもらった。

 4年に一度のビッグイベント、ワールドカップ。日々進化するサッカー界では4年という月日は長く、1大会ごとにチームの戦術や選手のプレースタイルも変わっていく。それはルールも同様であり、前回大会では認められたゴールが取り消される場合もあるだろう。そこで今回は、そのロシアW杯から変更されたルールやレフェリングを紹介していく。カタールW杯観戦のお供になれば幸いだ。

①VARの運用

 今大会で最もトピックになると考えられるのが、半自動オフサイドテクノロジーの導入である。14年ブラジル大会ではゴールラインテクノロジー、18年ロシア大会ではVARが導入され、大会ごとに判定の正確性が増すよう改革されてきた。  

 今回の半自動オフサイドテクノロジー導入により、VARのオフサイドチェック時間短縮が期待できるそうだ。スタジアムの屋根に12台の専用カメラが設置され、各選手の正確な位置情報がデータ化される。また、選手がボールに触れた正確な瞬間を自動検出するセンサーをボール内部に埋め込むことで、VARがオフサイド判定に使用する適切な瞬間の確認が不要に。以上の機械化で、VARがオフサイドラインを生成する必要もなくなり、オフサイドポジションか否かの判断は完全自動化されることとなる。また、ゴールラインテクノロジーのようにCGアニメーションでオフサイドの程度が示される見込みとなっている。

 一方、名称からもわかるようにすべてが自動判定されるわけではない。オフサイドポジションに攻撃側の選手がいるからといって、必ずしもオフサイドが成立するとは限らないからだ。相手GKに影響を与えたかなど判断に主観的要素が考慮される場合もあるため、オフサイド成立の最終的な判断は各審判員に委ねられる。

 なお、このテクノロジーを導入するからといって副審のオフサイド判定が不要になるわけではない。従来通りまずはピッチ上で判定が下され、それをもとにVARがチェックする流れとなる。

②ハンドの反則

 近年度重なる改正が行われたハンドの反則。前回大会とは異なるルールとなっているため、改めておさらいしよう。……

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Profile

攻劇

現役大学生のサッカー審判員資格保持者。自身の審判活動時はコミュニケーションを大事にするよう心がけている。国内外で話題になった判定や関連情報を収集しながら、Twitterを中心にルール解説やレフェリー情報を発信。競技規則の理解がサッカーファン内で進むことは、レフェリーとファン・サポーターの両方に良い効果があると考えている。贔屓クラブはJリーグのFC東京で、年間チケット保持者。

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