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【後編】ACAフットボール・パートナーズが見据える、ベルギー2部KMSKデインズでの壮大な実験

2022.06.30

ACAフットボール・パートナーズは、「サッカーの価値を解放し、進化させる」をミッションに掲げ、日本人による海外発のフットボールクラブ経営に挑む、シンガポールに拠点を置くグループだ。2022年2月にベルギー2部のKMSKデインズ(現地表記KMSK Deinze)の買収合意が報じられ、同年5月には欧州各国で指導経験を持つ⽩⽯尚久の同クラブ監督就任を発表するなど、注目を集めている。今回はグループの中心メンバーである小野寛幸CEOと飯塚晃央COOの2人に話を聞いた。

後編では、KMSKデインズでのプロジェクトの全容と白石監督への期待、ACAFPの今後の展望を聞いた。

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なぜKMSKデインズだったのか?


――マルチクラブ・オーナーシップ(以下、MCO)の中核クラブとして、ベルギー2部リーグのデインズを買収した理由を教えてください。

飯塚「まずベルギーは5大リーグに近い地理的にすばらしい場所にあること、リーグの外国人規制が緩やかであるため、世界中の選手を集められることなどがあります。さらにベルギーリーグは、いわゆる移籍金市場でトップリーグに対する移籍金の額がオランダリーグやポルトガルリーグと同等のレベルにあります。それらを総合的に考えて、ここで選手をデベロップメントすることは、非常に魅力的だと感じました。私自身、シント=トロイデンVVで3年間働き、白石監督もシント=トロイデンVVでの指導経験があるため、ベルギーリーグについて把握できている点も大きかったです」

小野「1クラブ目というのは、私としても体験したことがない挑戦です。そのため、勝つための挑戦というより、確実に勝たなければならないと考えています。北欧や東欧も含めて30クラブほどを回った結果、先ほど飯塚が話したように、『地の利』を持つベルギーで、19-20シーズンに2部昇格を果たしたデインズを選びました」


――改めて、デインズとはどのようなクラブなのでしょうか?

飯塚「クラブ設立は1926年で100年ほどの歴史を持ちますが、プロのカテゴリーに昇格したばかりという意味では新興クラブと言えますね」

小野「アマチュアからプロに昇格していくことに本気で取り組んできたクラブで、自分のクラブをより高いレベルに連れて行きたいという旧オーナーの意思と我々の野心との親和性が高いと感じました。小規模なクラブですが、その方がリストラクチャリングや、我々が最初にインストールする哲学など、いろんなものが比較的入れやすいだろうという思惑もありました」

KMSKデインズの選手たち


――飯塚さんはシント=トロイデンVVなどで、クラブに新しい経営的なストラクチャーを作る経験をすでにされていますからね。
……

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ACAフットボール・パートナーズKMSKデインズ小野寛幸文化⽩⽯尚久経営飯塚晃央

Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。