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バルサが「バルサ」であることをやめた日【CL第1節:バルセロナ 0-3 バイエルン】

2021.09.16

いよいよ開幕した21-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ。9月14日に行われたグループステージ第1節の注目カード、19-20準々決勝の前回「2-8」も記憶に新しい、バルセロナ対バイエルンのグループE強豪対決は、今回も後者に軍配が上がった。カンプノウで0-3、シュート数は5対17で枠内シュートは0。ユリアン・ナーゲルスマン率いるドイツ王者に対し、この日[5-3-2]を選択したロナルド・クーマンのチームはなぜ大敗を喫したのか。西部謙司氏が分析する。

バルサでなければ「まあまあ」の試合

 カンプノウで0-3の完敗。リオネル・メッシのいないバルセロナはバイエルン・ミュンヘンになす術なく敗れた。

 バイエルンはまだ本調子ではない。ユリアン・ナーゲルスマン監督が就任したが、昨季までと大きく変わった印象はなく、シーズン序盤のスロースタートも変わらなかった。そのバイエルンに負けたバルセロナは酷評されているが、彼らがバルセロナだということを忘れてしまえば、そう悪いプレーぶりではなかったと思う。

 ロナルド・クーマン監督は[5-3-2]のシステムを選択。34分にトーマス・ミュラーのミドルシュートがエリック・ガルシアに当たりコースが変わってゴールイン。このやや不運な失点のみで折り返した。バルサにチャンスがなかったわけではなく、ペドリとメンフィス・デパイが左の「隙間」に入り込んでの崩しや、斜めのロングパスから相手の背後を突く形は見せている。[5-3-2]なので攻撃の狙いはカウンターなのだが、カウンターを急ぎ過ぎないところはバルサらしかった。

 後半に入ると、バルサは自陣からビルドアップで持ち上がることが難しくなり、押し込まれる時間が増える。56分にはアルフォンソ・デイビスのシュートのこぼれ球を受けたジャマル・ムシアラのシュートがポストを叩き、最後はロベルト・レバンドフスキがゴールネットを揺らした。

 バルサは59分にガビとユスフ・デミルを投入、さらにオスカル・ミンゲサとフィリペ・コウチーニョを入れた66分からは[4-3-3]に変更。バイエルンのペースダウンもあり、バルサらしいリズムは出てきたがそこまで。85分にレバンドフスキがとどめの3点目を決めた。

 スタートからの[5-3-2]、後半途中からの[4-3-3]のいずれもそれなりに機能はしている。勝てそうな雰囲気は皆無ながら、バイエルンを相手に精一杯のことはやっていた。CLに出る平均ぐらいのチームなら、結果はともかく内容は「まあまあ」の出来と言っていいかもしれない。だが、このチームはバルサなのだ。さらにバルサはバルサであることをやめてしまっていた。おそらくそれが一番の問題点なのだと思う。

試合のハイライト動画

バルサが「バルサ」であることをやめた日

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。